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もうひとつの穴から覗いたら

視点を変えて心と身体を捉え直すボディワーカーのつぶやき

プレマ株式会社
プロモーションセクション
ボディワーカー

寺嶋 康浩 (てらしま やすひろ)

関西大学工学部卒。ディレクターとして企業の宣伝に携わる傍、
クラニオセイクラルやポラリティセラピーなどの療法を学ぶ。
身体と対話し身体から思考のクセや感情を解放していくあり方をUnfolding Bodywork としてまとめ伝えている。
趣味はダンス。1級電磁波測定士。健康経営アドバイザー。

最近、泣きましたか?

投稿日:

感情を表現しないと伝わらないことがある。

「人前で感情を出してはいけない」という暗黙のルールがある。人前で泣き喚いたり、自身を見失うほど怒り狂ったりして感情を出すことは、まるで子どものようでかっこ悪いと思っているのかもしれない。しかし、そんな大人が人目も気にせず感情をあらわにしているのを、子どものころから何度か見てきた。その度に言葉にし難い不思議な感覚になった。

最初に見たのは、私の母親だ。私は5歳のときに特発性血小板減少性紫斑病になった。血小板が減り、血が止まらなくなる治療法のない難病だ。怪我をしなければ問題ないだろうと思うかもしれないが、腕を軽く握られただけで毛細血管が切れて内出血してしまう。当時は入院しても治療法がないので、毎朝血を取って血小板の数を調べるだけだった。できることは祈るしかないという状況だったと思う。

病室で母と二人になったとき、私が横になっているベッドの側で母が突然「ごめんね、ごめんね」と声を出して泣き出したことがあった。当時は自身がいつ死んでもおかしくないという状況を理解していないので、母のこの行動にとてもびっくりした。しかし、泣きじゃくる母を見ていると、まるで少女のように見えたのを覚えている。普段は親としての責任や大人として守るべき社会の常識でがんじがらめになって生きていても、感情が表出するときは子どもに戻れるのかもしれない。その涙のおかげかわからないが、それから少しずつ血小板の数値が上がり、半年後には血小板の数値は平均以上になり無事退院できた。

わが子が治療法のない難病になる母親の気持ちは想像もつかない。ただ命が消えていくのを見守るしかない状況は気が狂いそうだ。こういう状況で難病の子どもに悲しい顔を見せないという親もいるかもしれない。しかし、母は堪え切れず私の前で涙してくれた。そのおかげで悲しんでくれていることがよくわかっただけでなく、私が生きていくために必要不可欠な大切な何かを受け取れたような気がするのだ。

こんな風に書くと、母との関係が良いのだろうと思うかもしれない。しかし、親子関係はそんな単純ではない。母は私の話を聞こうとしないし、それで傷つけていることに気づいていない。それでも私は母の子どもで良かったと思う。スタバでこの原稿を書きながら、人目を気にせず大泣きできる大人になれたのだから。

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最近、泣きましたか?

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