歯周病は感染症の一種で歯の周りの汚れをとり、尚且つ身体の免疫力を上げることが大切だと前回お話しさせていただきました。病によりやむを得ず寝たきりとなり、歯の周りが汚れてくると口腔内に細菌が繁殖し、無意識に唾液を嚥下する際それが誤って気管に入ってしまい誤嚥性肺炎になることも以前お話ししました。今回は歯周病を加速する因子についてお話しします。
砂場に杭をたてます。その杭を横に揺さぶると杭は揺れるようになります。また揺れた杭の周りの砂の状態をみると最初平らな砂は盛り上がり、盛り上がった砂と杭の間には溝が深くなっていることがわかります。この物理現象が歯に例えると、歯周病を加速する因子なのです。杭を歯に砂は歯茎に当てはめますと、溝は歯周ポケットとなるわけです。
もっと具体的にお話ししますと歯を横に揺さぶる力があると歯周病になりやすいということです。歯を横に揺さぶる力とは何が原因で起きるかと言いますと歯のかみ合わせが悪いとそういうふうになるわけです。歯のかみ合わせが悪くなるのはどうしてかと考えますと、成長発育期に姿勢が悪かったり、うつぶせ寝や頬杖など、身体の使い方に誤りがあったり、良く咬まない事が原因で顎の骨格の成長が不足し、歯の大きさと顎の大きさにアンバランスがでてしまうからなのです。
また、うまく咬めないのは舌の位置が不正だったり、舌の使い方が間違っていることが多いのですが、これには乳児の時のほ乳の仕方の間違いなどが関係してきます。おっぱいを飲む時には唇と舌を色々動かして吸うのですが、この時にほ乳の筋トレをさぼってしまうと、そのときに習得しておかなければならない機能を持つことができないのです。ほ乳瓶で吸わなくてもダラダラ出てしまうものは、筋トレをしたくてもできないのです。
何故ほ乳瓶に……と考えて行くと人間はほ乳類ということを、忘れなければ生活していけなくなってきてしまっている社会、育児ができない社会環境、、仕事を含む生活環境、家族の核家族化、などが部分的に起因しているのではないかとも思うのです。もうちょっと、らくなちゅらるな自然体が健康にはよいのです。上記はそれだけが原因ということではないのですが、臨床をやっていきますと、そのような関係が浮かび上がってまいります。
話が広がりすぎてしまいましたが歯周病に戻ります。加速する因子をコントロールするには、力をコントロールすることが大切なのです。歯のかみあわせや姿勢がとても大切で関係してくることはおわかりだと思います。適度な体操や運動も身体の歪みをとるには必要です。歯は身体と繋がっているのです。
田中 利尚
田中 利尚氏 歯科医師.整体師 日本抗加齢医学界専門医 国際統合医学界認定医 「咬合(かみあわせ)を制する者は歯科をも制す」という、歯科医学の見落とされている最も大切な力学的調和という根本理論に触れ、かみあわせを追求。しかし身体が変位していると良いかみ合わせを構築できないところに西洋医学の限界を感じ統合医療を目指し東洋医学(整体)を勉強。 顎が痛い、お口が開かない、首肩の凝り、腰痛、うつ病までを含む顎関節症の治療にも取り組んでいる。 「健康は歯から」を確信している。 |