”未熟”じゃないけど。
出生体重が2500グラムより軽い子どもは、かつては「未熟児」と呼ばれました。
でも、体重が軽いだけで機能的には熟した子もいれば、体重は充分でも身体の機能が育ちきっていない子もいます。
そのため、今は「未熟児」と「低出生体重児」は分けられています。
現代日本では、低出生体重児の割合が増えているらしく、30年前は5%前後だったけれども2011年の時点で9・6%にまで増えていて、経済協力開発機構34カ国平均の6・8%と比べても非常に高い数字なのが問題だとかなんとか。
妊婦の体重制限との関わりも指摘されています。
妊婦が栄養不良だと、低出生体重児が生まれ、そういう子は長じて成人病になりやすい、という研究結果もあるそうです。
私は確かに体重の増えづらい妊婦でしたしわりとベジなので、現代栄養学的にも問題視されるだろうと予想します。
将来的に何かがあった時には、「臨月の私が子どもの体重を増やしきれなかったから」と思い出すかもしれないと思うくらいには、子どもは3人とも、推定体重が軽いことで、臨月頃から異常扱いされていました。
それでも、上2人の経験によると、小さく生まれた子は、体重の自然減少が過ぎたら、あとはぐんぐん大きくなりました。
その時点での成長率は完全に「異常」なのですが、その異常は指摘されないので(問題視する研究結果もあるはずですが、多くの医師は関与しないようです)、産科医療って、つくづく間違い探しだな、と思います。
3人目のお産では、成り行きで母子が離されてしまったけれど、でも、すぐに体重が増え、また同室になると思っていた。
不本意に取り上げられても、一晩だけのはず……。
だったのに、母と離された新生児の体重は、そこでほとんど増えなくなってしまったのです。
コミュニケーションに欠けた授乳
イトオテルミーなど火器は使わせてもらえないので、お湯を入れたペットボトルで乳房を温めた上で搾乳するという母乳大作戦を展開していた私は、その時点で完全母乳に移行させていました。
「体重を計る↓おっぱいを含ませる↓体重を計る↓足りない分を搾乳してきた母乳で飲ませる」というプロセスが理想ですけど、短い時間で確実に量を飲ませることを優先すると、だんだん、おっぱいを含ませる時間が短くなり、哺乳瓶に母乳を入れてとにかく飲ませるようになります。
そんな、大切なコミュニケーションに欠けた真似をしているというのに、体重が増えない。
与えられた母乳が、身についていかないのです。
飲みたくない子に無理に飲ませてもしょうがないのではないか、ということは、新生児入院室の看護師にも訴えました。
でも、眠っている子でも、お腹がいっぱいの子でも、吐かないようにゆっくり、でも確実に、哺乳瓶の中身を飲ませるのがその方たちの技術。
時には、30分もかけて飲ませていくそうです。
低出生体重児の場合、通常は与えるミルクの量は少なめに設定されるそうですが、うちの子の場合は通常通りの量。
ちょっと多すぎるのでは? と思いつつも、早く手元に取り戻したくて、何も言わずに、言われた量を飲ませていきました。
なのに、体重が増えない。
母子が離されたせいで、増えないのではないのか……?
私の退院日は決まっていました。
子どもを置いて退院するよう示唆されましたが、退院するまでには子どもの体重はかなり増えている、と主張して拒否していました。
が、さほど増えないのです。
そこで、はっきりと、子どもを置いて私だけが退院するよう促されました。
続きます。
プレマ株式会社東京スタッフ
望月 索(もちづき さく)
8歳、5歳、1歳の三姉妹の母。
人一倍不摂生な出版仕事人が妊娠、出産、育児と経験を積むうちに、気づくとハードコアな自然派お母ちゃんに。
編集、ライター、プレマの東京スタッフ。
編著に『子どもを守る自然な手当て』、訳書に『小児科医が教える 親子にやさしい自然育児』など。
楽だから自然なお産ご質問などは下記ブログまで
http://macro-health.org