ご承知のように、プレマ株式会社は自然食品やエコ雑貨、ナチュラルスキンケアや有害電磁波対策などを広く扱う会社です。最近では、お客様のニーズに対応しつつ人生により深くコミットするために飲食店や不動産部門も立ち上げましたので、同業他社様に比べるとカバー範囲は相当広いと思われます。そのすべてに私たちのミッション＆ヴィジョンである『あなたが大切に思う人をあなたが大切にできるようにお手伝いしたい　それがどこかの誰かに　そして無限の未来に　きっと繋がっていく……』があり、どこから切ってもこの意思が反映できるかどうかということを軸にして会社の経営をおこなっています。
　
さて、弊社は他社様とどう違うのか？　いろいろな会社が存在していますが、多くの場合には「細かい取り扱い基準が設定されている」場合や、「拡大することを重視している」、「（創業者の）個人的なこだわりが強く反映されている」など、規模も考え方もさまざまです。私たちはこのいずれともまったく違う考え方をもっています。優劣ではなく、単なる違いのレベルにすぎませんが、私たちからお客様にこのことを説明する機会も多くはありませんので、それぞれについて比較してみます。
　

取り扱い基準

私たちが重視するのはつねに「モノではなく、人」です。モノにフォーカスすれば、どういう製法か、なにが添加されているか、どういう栽培か、どういう検査をしたかなどの指標であらゆることが判断されるでしょう。私たちの場合には、どういう人がどんな思いで作っているか、どんな歴史を経てきたか、誰が流通に関与しているかなど、そこに人が強く関与していることを横に置くことはありません。数字にできる基準であれば、儲けのことしか考えていない人の作ったなにかを売ることも可能になりますが、私たちはそのようなクールな判断ができません。むしろ、そのものづくりにおいて作り手の幼少期はなにを考えていたのか、今の仕事はその人の人生になにをもたらしているのかなど、文脈を探るような思考を巡らし、なにを扱うのかについての思慮をしています。こんなことではザルのようになると批判も受けそうですが、誠実さのある人からフェアな値段で仕入れ、お客様に適正な価格でご提供することは信義則に反するとは考えていません。これを補完するのが「愛する人に食べてほしい、使ってほしいと思えるか」という問いです。世の中はいまだに大量消費、大量生産が流通の主軸となっており、コモディティと呼ばれるようなもともと安値の油や小麦など、安かろうそれなりだろう、という品のほうが値上げ幅が大きく、深刻な様子です。私たちの場合には、どこの誰が作ったとわかるような素材が大半ですから、値上げはあっても、今のところはそれほど大きな比率ではありません。愛する人にぜひ！という気持ちになれるのは、国際市場で基準価格のつけられるようなどこでも手に入る品ではなく、むしろ唯一無二の愛情あふれた品であると考えます。よって、私たちは関与している「人」を軸に、文脈を読み、なおかつ必要なデータは参照しつつ、総合的に判断しています。
　

拡大はしない、充実はする

自然食業界は、その他の業界と違わず、弱肉強食の資本の論理がまかり通る世界でもあります。皆さんが名前を知っているような大手の他社様は、巨大な資本がどこの会社を買った、いや売った、次はどこが買ったという売買ゲームの真っ最中です。確かに、よい品を扱う会社が成長するのはよいことではありますが、その成長の結果が株主利益に直結することを求められている以上、どうしても打算が生じてしまうこともあるでしょう。私たちはすでに成長することは放棄していると、融資を受けている銀行にもはっきり伝えています。その一方でお客様との関係性の深化には常に意識を向けており、買い物いただく、食べていただく、お目にかかる機会に満ち足りた気持ちを感じていただきたいと考えています。これは人間の一生とて同じで、ある程度までは成長そのものが重要ですが、ある一線を越えたときは人間的な価値を深めることのほうが重要になります。私の個人的な気持ちでいえば、不老長寿を求めるより、よりやさしい人になって最期を迎えたいと願っています。資本主義社会において成長は絶対に必要な要件とされてきましたが、それすらも疑いの目が向けられているこの時代に、大きくなることを目的に働くことは労多くして功少なしともいえ、私たちはすでに拡大の意思を捨て、むしろ次元を上げていくことに注力しています。
　

こだわりの超越

私があまり好きではない言葉のひとつに「こだわり」があります。こだわりは、拘りと表記することができるように、ひとつのことについて強く思い入れたり、執着したりすることを意味します。あちこちで「こだわりの品」という言葉を聞くと、一方的に自分都合で考えたんだなと反射的に思ってしまうくらい、私はこの言葉に強い違和感を感じています。ひとつのことについて強く思い入れるよりも、より視野を広くしてたくさんの人と、コトの関係性を重視し、過去や現在の執着は捨てて、まったく違う次に向かって進みたいという意思をもっていますので、できあがっている時点でもう次を考えることにしています。もちろん守るべき価値を軽視することはありませんが、今の時点で正しいと思っていることが次の世界で変わらないとも限りません。変化を受け入れ、より柔軟に、それが私たちのありかたでありたいと願っています。