「ゆるやかさ」がなくなる危機感

プレマ株式会社は、創業から25年目の日を去る２月11日に迎えることができました。これもひとえに、今まで不完全な私たちを受け入れて、ご愛顧いただいたお客様のおかげだと思っています。ほんとうにありがとうございます！
　
インターネット上を軸に自然食やエコロジー関係の仕事をさせていただいて、あっという間の25年だったと振り返っています。創業後、世界的な大事件や国内での甚大な災害など、いろいろなことがあり、そのたびに私たちはなにをすればいいのかということを繰り返し考えてきました。答えの出ないこともたくさんありますが、１９９９年当時と今とで大きく違っているのは、インターネット環境の劇的な変化です。私がはじめてホームページを作ったのは、まだダイヤルアップと呼ばれる電話線を使った疑似デジタル通信の時代でした。少しでも電話代を安くあげるために夜中に接続をするなど、データ通信の自由があるとはいえない時期です。その後、高速通信を可能にするサービスが次から次へと立ち上がり、また大容量の公衆回線が整備され、家からビルまでW‌i‌-‌F‌iが通信をカバーするようになりました。これらによって、私たちは誰もが情報を発信し、その情報を得ることのできる自由を得る一方で、膨大な量の高周波が空間を飛び交うようになり、電磁波に対する過敏を自覚する人も、また、当人の自覚はないものの電磁波による心身不調と思われる症状に冒されている人が激増しました。

自己肯定のマジック

この５年間くらいは、どこでも動画を視聴する環境が整い、あらゆる情報が動画や写真の形で拡散されるようになりました。素人が他人の秘密を暴露したり、私人逮捕というわけのわからない、一見正義感を振りかざして不法な行為をおこなったりする人までが目立ちます。それに比例して、やはり正義感に突き動かされているようなふりをして、人の感情に訴えかけ、根も葉もない情報を隠された真実だと断言する人たちも急増しています。とくに、コロナとそのワクチンを巡る攻防では医師も含めた専門家と称する人たちが右からも左からも根拠がない情報を拡散して人々の心をわしづかみにしようと躍起になっています。このインターネットの世界でどれだけの影響力を持てるかが自己重要感を満たす道具となり、自己肯定感ブームも相まって、一人でも多くの他人からの承認を得ることが成功の秘訣といわんばかりの風潮です。受ける側もうまく発信者の手の内に巻き込まれてしまい、これこそが真実で、これ以外はすべて間違いだという偏狭なマインドに支配されやすい環境が整いました。私はこれに抗おうと、まず食の世界から絶対の正義や正解をなくし、違いを受け入れることからスタートしようというBeyond-FoodBarrier®（食べ物からバリアを乗り越える）という概念を具体化することを急ぎましたが、まったくの力不足で、この食事法が絶対に正しい、いや、あの食事法こそ正しいという声にかき消されそうになっています。確かに、25年前にもこの健康法が正しい、いや間違っているという応酬はありましたが、インターネットを経由しない分、その影響は家族や友人知人、広がっても書籍の読者くらいのところまでで収束していたのです。これが、誰でも何でもネットで発言できるようになればなるほど、正しさの応酬となってしまい、食や健康法に限らず、あらゆる領域での社会の分断が進んでしまったという実感があります。他人がどのような選択をするかは、自らの生き方とは関係のないことなのですが、相手を言い負かせて屈服させる論破ブームもこれらを後押ししています。

見えない影響に毒されている

ここまで、私の嘆きのような話になってしまいましたが、ここからは私見であって、まだ誰も言及していないことです。一般的には頑固になって人に押しつけようとしたり、簡単にキレたりするのは脳の老化のようなものだとか、日本人の承認欲求が強すぎるからだといわれています。しかし、私はこの狭い国土でネットワーク化を急ぎすぎ、また極端に家電偏重の暮らしになった日本人が電源由来の極低周波と高周波ネットワークの編み目のなかで電磁波に対する過敏状態で脳や神経、人体が絶えず外部の電気的エネルギーに刺激されすぎているのではないか、と思っています。これらの影響は生体にとってはストレスそのものですから、溢れかえる情報を処理しなければならない事情と相まって、多くの日本人のストレス許容の器が溢れてしまい、誰かを攻撃したくなり、異なる価値観を許容できなくなっているのではないかという仮説です。実際に私が開発したオルタナティブアース®技術で電磁波をシールドした部屋に入りますと、心拍数は下がり、心が落ち着き、筋肉が緩み、声はやさしく、目は柔らかに見開き、すべてが穏やかに感じます。もう、この世界には私の仮説を検証できるような場所はどんどん少なくなっています。たとえ人里を離れようとも、そこではスマホが繋がり、動画も見られるのです。検証のしようもないことに人類は直面し、だったらエビデンスを出せと言われてもそのやりようがありませんし、もう昔に戻ることはできないのです。すぐできる処方箋はただひとつ、「私は外部の影響で、偏狭になりすぎているかもしれない」「私は本来、もっと穏やかなはず」と振り返ることでしょう。時代が難しくなっているからこそ、私たちはゆるやかに、穏やかに、そしてしっかりと存在し続けたいと考えています。