このたびの震災に被災された方々には心よりお見舞い申しあげます。
この稿が届くころには身の安全が確保されていること、
そして、被災地が一日も早く復興することを心よりお祈り申し上げます。
当たり前のこと
蛇口を捻れば水が出ること、スイッチを押せば明かりが灯ること。
当たり前と思っていることに、感謝の気持ちが強くなりますね。
災害が発生すれば、当たり前が当たり前でなくなります。
食については救援物資に頼らざるを得ず、加工食品が主になってしまい、
カロリー過多、ミネラル不足に陥りがちになるのも仕方のないことかも知れません。
飲料水の確保もできない状況で、歯磨きなど望むべくもありません。
そのようなときには、何よりもよく噛んで食べること。
ゆっくりと唾液の量を増やしながらいただくことで口中の不快感、
ドライマウス、喉の渇きも防ぐことができます。
そして、もうひとつ大切なのは、口を閉じて鼻呼吸すること。
冬の寒い日に吐く息が白く見えることからわかるように呼気には水蒸気、
水分がかなり含まれているのです。
ランナーが冬場に喉や鼻を乾燥から守るためにマスクを着用してトレーニングした際には、
走り終えるとマスクから水滴が落ちることも。
口呼吸により水分が奪われることもうなずけます。
当たり前にする鼻呼吸を日頃から習慣として心がけておきたいものです。
水は摂取するだけでなく、必要以上に奪われることのないように
きちんと体内で循環させることも大切です。
水に流す
過去のいざこざや経緯をすべてなかったことにして咎めないことを
「水に流す」といいます。
邪悪なものを川などに流して清めてしまうことからきた、日本特有の文化だとか。
季節や自然環境に恵まれたなかで育まれた文化、水の流れのなかに
美しさをみようとする国の人ならではのこころであったようです。
水とは目には見えても、かたちのないもの。
器によってかたちを変え、温度によって姿を変えることからも、自己主張しすぎず、
相手に寄り添おうとする日本人の国民性と重なるところがあります。
「流水不腐(流れる水は腐らない)」というように、絶えず動き、
一所に留まることはないことを見出していたのでしょう。
すべては移ろい行くもの、変わらないものなどないということですね。
東洋医学では「不通則痛(通ぜざれば、すなわち痛む)」という言葉があります。
川の流れがスムーズだと、その水は綺麗なままですが、
淀んでくると濁ってきて滞りが出てくる。
私たちの体でも、気・血液・水分の流れがスムーズであれば健康を保てますが、
流れが滞ると痛みや不調の原因となってくるということです。
流れる水は腐らない。
ならば、流れなくなった水は腐るはずですが、水道水は腐りにくい。
日本では雑菌(とくに大腸菌)への規制が厳しく、
その基準は世界でもトップレベルの厳しさです。
この基準を守るために、水道水に塩素が加えられています。
食中毒の発生率が低下するなど、生活環境が守られます。
ところが、この塩素に有害性があることが広く知られるようになってきました。
水道水を水槽に入れれば、金魚がすぐに死んでしまうことを知る人は多いでしょう。
金魚にとって安全ではないものは、私たちにとっても安心して飲める水とは言い難い。
浄水器を使うなど、安全・安心の水のために、自分の体は自分で守りましょう。
「当たり前を維持するための不自然」。
なんだか違和感がありますね。
視点を変える
私たちには、自分で「水に流す」機能を持っています。
泣くこと、涙を流すことです。
悲しいとき、悔しいとき、つらいときに、なぜ水が目から出てくるのでしょう。
それは、物の見方を変えるためではないかと考えています。
目の前にあることを視界がくもって正視できない。
ならば違う角度から見てみよう。
それをこれからに活かしていこう。
そう思えたら、マイナスがプラスに変わります。
すべてはよりよくなるために起こることなのです。
圭鍼灸院 院長 鍼灸師
マクロビオティック・カウンセラー
西下 圭一
(にしした けいいち)
新生児から高齢者まで、整形外科から内科まで。
年齢や症状を問わないオールラウンドな治療スタイルは
「駆け込み寺」と称され医療関係者やセラピストも多数来院。
自身も生涯現役を目指すアスリートで動作解析・運動指導に定評があり
プロ選手やトップアスリートに支持されている。
兵庫県明石市大久保町福田2-1-18 サングリーン大久保1F
HP:http://kei-shinkyu.com