今回は、『宮古島産黒糖』についてご紹介します。
農薬・化学肥料不使用で栽培されたミネラルたっぷりのサトウキビを、糖度の高くなる旬を狙って収穫し、鮮度高く・不純物の少ない状態で搾汁し、昔ながらの釜炊き製法で職人技術を駆使して黒糖に仕上げました。
黒糖の品質を決める要素はシンプルに素材と製法ですが、極めると奥深いものだということが、間近に接してよくわかりました。
★3月下旬から4月上旬糖度の最も高くなる旬を狙った収穫
サトウキビの糖度は12月頃から徐々に上がり、3月下旬頃にピークを迎え、また徐々に低下していきます。
★大切にしたかったのは手刈りの品質
(1)サトウキビの茎で最も糖度が高いのは、地際近くから成熟してジュースの詰まった上部まで。一本ずつ目で見て、糖度の低い上側・梢頭部を切り落とし、地際近くの下部から倒しました。機械収穫では、平均的な高さ調整しか出来ないため、糖度の低い上部が混入したり、糖度の高い下部を残したり、畑の土を持ち込んでしまったりします。
(2)サトウキビを倒した時点から発酵(腐敗)が進みます。なるべく傷口を少なく、梢頭部と地際近くの2箇所のみを落として加工所に持ち込みました。機械収穫では構造上の制約で、2m以上の長いサトウキビも30㎝近くのサイズに短く刻んでしまいます。
(3)サトウキビの葉っぱ、根っこ近くに付着した土は、黒糖の品質劣化に繋がるため、丁寧に落とします。機械収穫では手作業のようなきめ細かな土・葉落としはできません。
★生命力のあるフレッシュな状態で加工
(1)刈りたて:刈ったサトウキビはなるべく早く搾汁~煮詰め~黒糖に加工するというのが鉄則です。とはいうものの、サトウキビの手刈り作業は相当の時間とエネルギーを必要とします。時間短縮のため予め梢頭部カットを終わらせておき、倒したキビには乾燥防止のためにキビの葉っぱを被せました。そうして、収穫から4日以内の新鮮な状態で加工しました。
(2)絞りたて:サトウキビの搾汁液は発酵力が非常に強く、朝絞ったジュースは夕方にはすっかり味が変わってしまうため、搾汁後すぐ黒糖に加工しました。
(3)作りたて:作りたての温かい黒糖の美味しさは、現場に立つものに与えられた特権。来期はサトウキビ収穫体験・黒糖加工体験のイベントを企画する予定です。
★農薬・化学肥料不使用を当たり前にするには
安全で美味しく健康に寄与するものを届けたいと願う私たちが選んだ、農薬・化学肥料不使用で育てられたサトウキビ。しかし、農薬・化学肥料を使う慣行栽培がほぼ100%というのが宮古島の現実です。
生産性向上による低価格化努力は必要ですが、効率一辺倒・経済至上主義の行き過ぎによって安全性への不安や土壌・水質汚染の問題を引き起こしてきました。ひ孫の代まで考えた農業の未来を考えると、農薬・化学肥料不使用は当然の選択であるかと思いますが、一方で手間がかかる栽培法です。
私たちは、生産者と消費者が同じ意志を共有することによって、現状を変えていくきっかけ作りをしていきたいと考えています。
★職人の技術が冴え渡る昔ながらの釜炊き製法
火加減の強弱や炊き上げの時間など、仕上げ方によって黒糖の品質は大きく異なることを知って、非常にビックリしました。地元の人が黒糖の味を「しょっぱい」「苦い」と表現されるのを聞いた時もビックリ。ミネラル分を多く含み、深みのある味わいの黒糖は表現も複雑になるのですね。
【1】タイミングよく迅速・丁寧な灰汁取り作業、【2】温度・粘度から固めるタイミングの見極め判断、【3】空気を入れながら撹拌冷却して結晶化させる技術、などの重要ポイントで、長年培われた勘・コツ・経験に裏づけされた職人技が光ります。今回は、宮古島が誇る職人お二人にそれぞれ加工していただきました。
松本克也
松本克也氏 プレマ宮古島プロジェクトリーダー(兼農業生産法人(株)オルタナティブファーム宮古代表取締役) 2012年4月まで自動車会社に勤務。車体製造の接合技術開発に心血を注ぎ、エンジニア一筋の人生を送る。2011年12月にもともとプレマファンだった姉から「プレマ・宮古島プロジェクトの発足とスタッフ募集」のメルマガ情報を聞いて『これだ!』と直感し、転職を決意。そこからはとんとん拍子に事が進み、家族で宮古島に移住。今ではすっかり都人(実は京都出身)ならぬ宮古人になりました。 |
プレマ株式会社の『宮古島プロジェクト』 宮古島の自然農法を推進し、島の健全な地下水と珊瑚礁を守り、お客様に安心と安全を届けます。 |