健康的な生活の秘訣、それは季節感を大切に自然の中で生かされていることを感じながら、日々の生活をきちんと送ることです。
6月といえば、一年の折り返し。半年間の無事に感謝するとともに、積み重なった疲労を癒し、けがれを洗い流す「夏越(なごし)」の清めをする地方もあります。「なごし」は「和し」に通じ、心を和らげつつ「夏」を無事に「越す」ことにつなげていこうとする姿勢の表れです。 これから雨の多い梅雨の時季に入ります。「梅雨(ばいう)」は、もとは「黴雨(ばいう)」から来たと考えられています。黴菌(バイキン)といわれる雑菌が湿気によって繁殖し食中毒や感染症などの病気が発生しやすい時期に、その雨が育てる梅の力を借りて乗り切ろうとする先人の考えが伝わりますね。
いい塩梅
上手く処置してよい具合・加減にすることを「塩梅」と言いますが、中国では古くから塩と梅酢が使われてきたことに由来します。それだけ広く使われてきた梅酢ですが、最近はそうでもなさそうです。 これからの季節、飲む梅酢がおすすめ。梅干を漬けたときの梅酢を、水で飲みやすい濃さにうすめて飲むといいでしょう。熱中症対策に塩分やミネラル分の補給ができるだけでなく、青梅から出たクエン酸が豊富なので疲労回復や血液をサラサラにするのにも効果が期待できます。さらに赤梅酢では紫蘇の葉からの成分による制菌力があり、食中毒の予防にもなるのです。 熱中症対策で話題になるのはスポーツドリンク。運動によって失われた水分・電解質・ミネラル分を素早く吸収されるように考えられているのですが、飲みやすさのために糖分も多量に含まれているということは知っておくべきです。とくに運動をしない日常生活のなかで飲料水代わりに飲む人が増えていたり、炭酸飲料は健康に悪いと知って代わりにスポーツドリンクを子どもに与える親御さんが増えていたりするのですが、決しておすすめできるものではありません。急激に血糖値が上昇するなど、危険ですらあるのです。 熱中症の予防のために摂取する必要のあるのはカリウムでもカルシウムでも糖分でもなく、ナトリウム。本当は塩水でも十分なのですから、梅酢なら安心です。
梅干はその日の難逃れ
昔から、おにぎりに梅干を入れたり、日の丸弁当にしたりするとその日はご飯が腐りにくくなって食中毒から守ってくれることは知られています。梅干は、土蔵のような保管に適した環境であれば100年前につくられたものでも食べられるといいます。 また独特の酸味はクエン酸の成分によるもので、唾液の分泌を促し、消化吸収を良くするので、とくに食欲の低下する夏場の疲労回復を助けてくれるのです。 梅干の歴史を辿ると、平安時代にはすでに梅干と昆布茶によって病気を治していたという記述が残っていますし、戦国時代には食中毒・伝染病の予防になくてはならないものとして戦略物資の一つに数えられています。近代に入ってからも、戦時中では前線の兵士にとっては長期保存のきく梅干は携行食であったようです。 近年、行き過ぎた減塩指導のために、伝統製法での梅干がなくなりつつあります。減塩と味付けされた調味梅干ではこれらの効能は期待できません。塩分と引き換えに失うものが多くあるばかりでなく、化学調味料や合成保存料などの添加物が含まれることの認識も必要です。
梅干は海外でも評価
スポーツの分野でも海外で活躍する日本人選手が増えてきたこともあって、日本食にも注目が集まっています。「プラム(梅)を塩漬けしたウメボシ」が疲労回復に役立つとして、運動量の多いサッカー・プロリーグで試合前に食べられていることがイタリアで新聞報道されたこともあり、一昨年に日本人の伝統的な食文化「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたこともあって、日本で伝統的につくられた梅干は海外に輸出もされているのです。 自分たちの体は自分で守るために、梅干と梅酢があるだけで健康維持に役立つことを知り、日々の生活に取り入れていきたいものですね。
国産原料使用。青梅を赤しそと塩だけでシンプルに漬け込み抽出しました。梅エキスたっぷり。
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執筆 圭鍼灸院 院長 西下 圭一 病院勤務を経て、プロ・スポーツ選手からガンや難病まで幅広い患者層に、自然治癒力を引き出していく治療を特徴とする。 鍼灸師、マクロビオティック・カウンセラー、リーディング・ファシリテーター。 |