天と地と人のめぐりのように、呼吸は最後まで送り出し、必要な分だけ入ってくるという循環があります。食す、排泄、呼吸は、誰かが自分の代わりをしてくれるものではありません。自分の息は自分自身です。自覚して息を吐くことは、きちんと終わり、新しい息を迎え、そして始まるのです。
生命(いのち)あるものすべて呼吸しています。植物も動物も人も地球も同じではないかと思います。その息を通して、自分を整えるのがボイスアートです。
ボイスアート独自の三つの基本呼吸法を実践する
ボイスアートでは、(1)おじぎ呼吸法 (2)ため息呼吸法 (3)ハー声呼吸法という呼吸法があります。その実践方法と効果をご紹介します。
(1)おじぎ呼吸法
最初は、おじぎをしながら息を吐いていきます。そして、身体をもどしながら、息を吸います。これを10回×3セット、全30回行います。
- 最初の10回は、身体をなじませていく目的で、おじぎの所作のみを行います。
- 次の10回は、吐く息を丁寧に聴きながら行います。
- 最後の10回は「上手くいく時いかない時あるけれど、自分は自分なりに最善を尽くした、或いは尽くしている。そんな自分にお疲れさま」と自身を労り、自身の心に声をかけながら行っていきます。
効果 あくびが出たり、眠くなったり、リラックスします。何も考えずに腹式呼吸が簡単に出来るようになります。自分の呼吸に意識が向くので、他者が気にならなくなり、安心感に包まれます。
(2)ため息呼吸法
ため息をつくのはよくない、幸せが逃げる、というような思い込みが一般的に多いようです。ため息は、「無意識に行う自然な呼吸」と捉えています。また、「ため息」の息は、途中で終わりますが、肛門が締まる感じまで吐いていくと、しっかりとした新しい息が入ってきます。これが、「ため息呼吸法」です。
無意識についてしまう、ため息を使って、低、中、高音のため息を出しながら、さらに遊んでいきます。普段、ついてはいけないと思っているため息を、ついてもイイとなると、楽しく変化していきます。ダメと言われ続けると、逆に無意識の内に、人は、ダメといわれていることをしたい欲求が強くなります。でも、「出してイイ」と自分にOKを出せると楽しく遊びに変化し、今までに出した事のないような声が飛び出してくるのです。効果 ため息遊びを、意識せずに行うと音域が広がります。ボイストレーニングを目指しているものではありませんが、遊びというワクワク感により、思わず声が出てしまい無意識に音域が広がる結果を得ることができるのです。
(3)ハー声呼吸法
ため息は勢いをつけて、ハーと息を出しますが、ハー声呼吸法は、勢いをつけずに、細く一定に、小さな声をのせ、途中から息だけにかえて、息に耳を澄まし、最後まで丁寧にその息を吐きながら、繰り返し、ハー声を聴いていきます。効果 行う時間により体感の差がありますが、5~10分位だと、安心感に包まれ眠くなったりします。30分位になると、人により違いますが、自分の肉体がどこにあるのかわからない静寂の世界と安心感を実感します。これは、自分を見失ってしまうことではなく、内なる自分の存在はここにあると確信できている状態です。外に向いた自分が、完全に自分と調和する時間です。
息を通して自分を整える
「自分と調和する」。すべて、ここから始まるのではないかと思います。
絵を描きたい、歌を歌いたい、踊りたいなど、表現したいことが、自分と調和してくると表現したいことが、次々に生まれてきます。これがボイスアートの「アート」と名付けた理由です。ボイスアートは、あなたの心に喜びの種を蒔きます。それを、ぜひ育んでほしいと願っています。
ボイスアートマスター・歌人・作詞作曲家
NHK 文化センター梅田教室講師
日本音楽著作権協会会員
まや はるこ
大分出身。声楽を笹田和子、シャンソンを菅美沙緒に師事。バックパッカーとしてアメリカ、カナダ、中南米へ。パントマイムをトニー・モンタナロに師事、心と身体を解放する基本を学ぶ。阪神淡路大震災で全壊被災し心を病み、滋賀県朽木村で療養中に自分の声を聴く行為により自身の心が解放されることに気づく。「ボイスアート®」と名づけライフワークとして指導。大地と人の調和を目指す「アワ歌」など音楽活動を展開。神戸市立須磨海浜水族園イルカライブショーテーマ曲楽曲提供他。コロンビア、ペルー国際音楽祭で自作曲「あなたに会えてありがとう」で歌唱賞受賞他。
090-1596-6659
mayasong@k3.dion.ne.jp
http://voiceart.jp/