最近、ミネラル不足やミネラルの摂取を勧める話をよく聞くのですが、そもそもミネラルとはなんなのでしょうか? また、日常生活のなかでミネラル不足を防ぐ方法を知りたいです。(家族の栄養バランスが気になる30代主婦)
A.体を働かせる元素。玄米と自然塩で摂取しよう
答える人 プレマ株式会社 お客様コンサルティングセクション 岸江 治次
ミネラルは鉱物(無機物)であり、万物の元となる元素です。元素には百以上の種類があり、そのうち、生物(有機物)の主要な元素である炭素・酸素・水素・窒素以外の元素がミネラルと呼ばれます。人間の体は、前述の4元素が96%を占めており、ミネラルが占める割合は4%と小さいのですが、非常に重要な存在です。なぜなら、ミネラルは人間の生理機能を潤滑に働かせるために必要なものだからです。たとえば体温の調整や血圧のコントロールなど、人間の体は、さまざまな生理機能により健康的に維持されています。ミネラルが不足すると、生理機能が正しく働かなくなります。とくに栄養学的に人間の体に必要なミネラルが16種類あり、それらは必須ミネラルと呼ばれます。
昔から日本人は、魚や海藻など海のものからミネラルを摂取してきました。海は生命の源です。海のものを食べることで、自然にミネラルのバランスがとれていたのです。しかし現代では、食生活の変化により海のものを食べる機会が減り、ミネラルが不足しがちです。また、精製した食品もミネラル不足の一因です。たとえば、サトウキビから作る上白糖は、精製することでミネラルが大量に失われます。塩もそうです。自然塩と呼ばれる昔の塩は、海水を天日干しして作られていましたが、1971年に塩田法が廃止され、イオン交換膜を使って作る塩が一般的になりました。自然塩には、海水に含まれる何十種類もの微量ミネラルが含まれています。しかしイオン交換膜を使うと、それらのミネラルがそぎ落とされ、「塩化ナトリウム」のみの塩ができます。これもミネラルではあるのですが、ミネラルはバランスが非常に重要です。自然界に存在する多様なミネラルをバランスよく摂ることで、人間の生理機能が正常に働くのです。
ミネラルのなかでも不足しがちなのが、カルシウムです。体内において、カルシウムの大半は歯や骨のなかにありますが、血液中にも一定のカルシウムが存在しています。それが不足すると、骨のカルシウムが放出され、骨がもろくなり、骨粗しょう症につながります。カルシウムは摂取も大切ですが、カルシウムを失わないことも大切なのです。たとえば上白糖の摂取は、カルシウムの喪失につながります。上白糖を体内で分解すると、その過程で多くのカルシウムが失われてしまうのです。
カルシウムの吸収に関しては、日本人の場合、魚や海藻などに含まれるカルシウムは吸収しやすいのですが、乳製品に含まれるカルシウムは吸収しにくいといわれます。カルシウムの吸収はマグネシウムとのバランスが重要だということもわかっており、カルシウム:マグネシウムがおよそ2:1のとき、効率的に吸収されます。さらに、カルシウムはリンとバランスをとって機能することがわかっています。リンが過剰になるとカルシウムが失われるのです。しかし現代の食生活はリンを過剰に摂取しやすくなっています。なぜなら、リンは食品添加物に多く含まれているからです。
昔の人は意識せずともバランスよく食事をしていればミネラル不足の心配はありませんでした。しかし現代では、食生活の変化に加え、農薬や化学肥料などの影響で、そもそも野菜や穀物に含まれるミネラル量が減っています。そこでマクロビオティックでは、未精製の食品をまるごと食べる、一物全体を勧めています。とくに米は重要です。未精製の米、つまり玄米には多くのミネラルが含まれており、玄米を食べるだけでミネラル不足はある程度防げます。さらに自然塩を一緒に食べることで、ミネラル不足の心配はほぼなくなります。