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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

冷えは陰鬱のもと

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今さら、と思われるかもしれませんが、冷えは万病のもとであることは間違いありません。体温を一定以上に維持することで得られるメリットは計り知れず、元気の根幹といえます。

私は数年前、極度のストレスで胃腸はボロボロ、さらに平熱が35度程度という数カ月を過ごしました。このとき以外、平熱は36・6度程度なのですが、精神的に強烈なダメージを受けるとどのようになってしまうのか、自らの体験でわかりました。このときばかりは自殺願望が頭をかすめることまであり、心療内科では適合障害と診断されました。この診断や病名に特段の意味はありません。しかし、当時はちょっと動くこともままならず、とはいえ会社は経営しないといけませんから、全身の力を振り絞って、このような深刻な状況が周りにわからないように必死に努力しました。

おかげさまで危機は乗り越えることができたのですが、同じような状況の方がいるとすれば、それはそれは辛いだろうと思いますので、私の体験を共有させていただきます。私のそれまで&その後の考察では、気分が滅入る場合だけではなく、各種の過敏症の方はたいてい体温が低いです。そこで、徹底して温める方法もご紹介します。

まず、計測

私がこのボロボロ状況に陥ったとき、自分で体温を測って極端な低体温だとわかったわけではありませんでした。あまりにしんどいのと、このまま「心の病です、とても経営はできません」となってはほんとうに困るので、ある代替医療の先生に診てもらおうと思いたったのです。その先生と面識があるわけではありませんでしたが、このような激しく落ち込む気持ちになるのは血糖値の変動に問題があるのではないかと思い、誰にでも糖負荷試験(所定量のブドウ糖を飲み、決まった時間ごとに血糖値を測定する)をしてくださる先生を探し出して、重い身体を引きずってクリニックに行きました。

その検査の最初の採血の段階で検温されたのですが、驚くべきことに体温が35度しかありませんでした。看護師さんから「いつもこんなに低いのですか?」と聞かれて、「そんなはずはないです」と言いましたが、もう一度測っても同じです。「朝は低いこともありますから」と言われたのですが、納得できません。しかしその後、採血のたびに体温を測っても、少し上がっただけで、結局その日の最高体温は35・4度でした。

検査終了後、カウンセリングというものを受け、大量のビタミン剤を勧められるがままに数万円分購入しました。体温が下がっていると判断すら誤ります。結局、ホテルで開封してバカらしくなり、体温を上げる作戦に切り替えることにしたのです。弱り目に祟り目といいますが、あんなに大量の、そして色とりどりの錠剤を口にしたからといってどうなるわけでもないのは当たり前のことなので、フォーカスを完全に切り替えたのです。「じゃあ、なんで最初から検温しないの!」と怒らないでください。今まで発熱したことはあっても低体温で困ったことがない私ですから、まったく考えもしなかったのです。いつでも、すぐにわかることなのに、気づいていない……。こういう落とし穴があるのです。ちなみに、この検査を受けるより先に門をたたいた心療内科では、当たり前ですが検温などはありませんでした。

ひたすら歩く

原因がわかってしまえば、もうこれは人生のネタです。そう思い込むようにして、重い身体を引きずって歩き倒しました。歩く元気があれば困らないよといわれるかもしれませんが、青空も曇り空に見えるような気分のまま、とにかく歩いたのです。数時間歩いて検温すると、確実に体温が上がってきます。じっとしていると体温は下がるので、また歩きます。歩いていないときには、「玄氣陽氣の素」(2日以上じっくり焙煎した玄米を超微粉末にしたもの)を飲み、「アルファウェーブ」(タンパク質が遠赤外線を放射する特殊繊維)を首に巻きつけて生活しました。そして、塩分がやや濃いめの食事を摂るなどしていると、日増しに活気が戻ってくるようになったのです。活気が戻ると歩くのも気持ちよくなり、さらに歩くことができます。黙々と歩いていると、胃腸がボロボロで逆流していた食べ物が喉元に来なくなり、胃の痛みも楽になっていきます。胃腸症状はしばらく残りましたが、気持ちは数日でまともな思考ができるレベルに回復、1カ月もすると体温はもともとの平熱だった36度後半で安定してきたのです。この黙々と歩いたときの記録が、過去数年、本誌の表紙に掲載していた写真です。

当時は胃腸症状をなんとかしようと鍼灸にも通っていましたが、その先生からは「サウナとか、発汗とかは出血と同じなのでダメです」と言われて、まあ確かにそうだなと思ってしまい、気分転換のサウナも封印していました。ところが、疑似出血であろうとなんであろうと、とにかく体温を上げようと銭湯やサウナで温冷浴を繰り返すようになって、ますます元気になりました。

こんな話を書いていいのか迷いましたが、誰でも、生きているだけでいろいろなことがあります。どんなに元気そうな人でも誰にもいえない悩みがあり、ときとしてそれはものすごく重たいものなのでしょう。共感と愛を込めて。

熱くして飲むだけで冷え対策

最初から低体温だとわかっていれば、私はコレ一択で対策したと思います。まさか自分がそうだったなんて……と気づいたら、内側から温めるこちら。マイナス18度のジェラートに加えても血行促進するくらいだから、熱湯で溶かして飲めばなおさら。これからの時期には万人に必須の完全なる「陽氣の素=太陽の濃縮物」なのです。

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冷えは陰鬱のもと

- 中川信男の多事争論 - 2019年11月発刊 vol.146

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