子どものアレルギーに悩んでいて、自然療法に詳しい友人からホメオパシーを薦められました。ホメオパシーとはどういうものでしょうか。(自然の一部として生きていきたい30代主婦)
答える人 プレマ株式会社 お客様コンサルティングセクション 岸江 治次
少しでも元気になるための一つの手段
病気になると専門の医師が診てくれます。これが西洋医学と呼ばれる現代医療の主流ですが、医師でも治療が難しい病気や症状があり、効果が得られないときには、別の手段として中医学やインドのアーユルヴェーダなどの伝統医学を代替医療として選ぶことがあります。ホメオパシーも代替医療の一つで、1700年代後半にドイツの医師ハーネマンが提唱し、ドイツでは一般的な医療の一環として広くおこなわれています。
西洋医学は「病気は一度発症すると積極的に治療しない限り自然には治らない」という立場を取っていますが、代替医療は「人間には自然治癒力がある」という立場を取っています。西洋医学は体の臓器や部位ごとに専門が分かれ、分析的なアプローチが主流ですが、ホメオパシーは人間を体・心・魂の3つの要素から捉え、この3つのバランスを整えることで全体的な健康を目指すという考え方です。
ホメオパシーの基本は同種療法です。具体的には「毒を以て毒を制す」という方法で、毒素を極限まで薄めて砂糖玉に浸して摂取することで、体が自覚し、毒素を排出するという仕組みです。この薄められた物質をレメディと呼び、レメディの概念は西洋医学の薬のベースにもなっています。レメディは自然由来で副作用が少ないとされており、薬を飲みたくない人がホメオパシーを選ぶケースも世界中で見られます。西洋医学の観点からは、レメディは本当に効果があるのかと批判されていますが、ハーネマンは薄める過程で水がエネルギーや情報を保持することを発見しており、これがホメオパシーの基礎理論となっています。
ホメオパシーでは単にレメディを飲んで治すのではなく、ホメオパスという専門家がカウンセリングを通してその人の状態を把握したうえで、個々に応じた指導をおこなうことも大きなポイントです。
世界ではホメオパシーを医療行為として認めている国もあれば、そうでない国もあります。日本では1990年ごろにホメオパシーが広まり始め、これを機に人間は自然と共に生きる生き物だとして総合的に捉える「ホリスティック医学」が見直されるようになりました。
2009年に助産師が幼児にビタミンKを投与する代わりに同等の効果があるとされるレメディを与え続けて亡くなった事件が起こったことで否定的な見解が強まった時期もありました。しかし、今、伝統医学を見直す動きも出てきており、ホメオパシーを広める団体やホメオパスの資格を取るための学校もできています。
医療が進歩しているにも関わらず、多くの人が病に苦しんでいます。つまり、西洋医学がすべての病気を完全に治療できるわけではないということです。西洋医学に限らず、万人に適用できる療法などありません。どんな療法にも利点があり、代替医療もあくまで一つの選択肢です。ハーネマンもホメオパシーが完璧ではないと認めており、ホメオパシーを広めている人たちも、病気や重篤な症状を持つ人を少しでも元気にするための一つの手段として提案しています。どの療法に頼るにしろ、毎日の生活習慣や食事が健康の基盤となっていることを覚えておきましょう。