光と影、男と女。
異なるものを二つとも認めて無理に融合させないという陰陽思想、素晴らしいですよね。
対極にあるものの存在理由を考えるとき、
筆者はよく「モーターが動くしくみ」を思い出します。
N極とS極のように、男女は違うからこそ二人でいると
エネルギーを生み出せるのかもしれません。
ただし、うまくいっている場合に限りますが(笑)。
二者択一は諍いを生みやすい
この世では、二元論で片づけられてしまうことが多いですよね。
教育の世界でもそうです。
一斉保育か自由保育か。
シュタイナーかモンテッソーリか。
ここでいう自由保育は、決して「放任」ではありません。
ただ、多くのお母様が求めておられるのが、
ある程度、時間や内容が決められた一斉保育であるのは確かです。
「椅子に座っていられる子」=「良い子」という風潮がどうしてもあります。
これは日本の小学校以降の教育が、黒板の前に先生が立ち、
一方的に教える「与える教育」が基盤になっているためです。
この流れが変わってきたのは、この10年ほどのこと。
数年前、朝ドラ出演俳優さんにインタビューしたとき、
お子さんを「シュタイナーで育てたい」とおっしゃっていました。
かなり浸透していることに驚いたものです。
先ほどの、シュタイナーかモンテッソーリか。
このシュタイナーをAとし、モンテッソーリをBとすると、
①Aが良い②Bが良いのどちらかで議論になるコトがあります。
教育というものは議論になりやすいものですが、
議論になれば良い方で、罵り合いになることもあります。
コミュニケーションの講師をしていて思うのは、
この「議論」が日本人は慣れていないのだということ。
さらにアメリカからディベートが入ってきてしまいました。
ディベートは「議論」ではなく「討論」です。
今の日本に必要なのはどちらかというと「議論」のはずですが、
そういうったことを進めていける園や学校は、まだ少ないと感じます。
生きていくうえで重要なのは、そういった二者択一ではなく、
①でも②でもない「第3の道」を見つけること。
それを思いつく「しなやかさ」が重要ではないでしょうか。
それは「どちらもいい」かもしれませんし、
「どちらでもない」別の選択肢かもしれません。
例えば、西洋医学か東洋医学かではなく
「どちらもいい」と捉えたほうが道は開けますよね。
道は一つではない方が生きやすいはずです。
どちらか一つだけを選ぶ道というのは、所属しているグループ内の絆は深まりますし、
承認欲求は満たされますが、異なる考えの人と諍いになりやすいものです。
また、所属しているグループとの間に折り合いがつかないできごとが起こったとき、
前に進めなくなってしまうというデメリットも考えられます。
子育てにも「しなやかさ」を
第3の道を見つける力は子育てにも役立ちます。
お友達の家に遊びにいったとき「帰りたくない!」と
子どもが駄々をこねることってありますよね。
「帰るの!」「いやだ!」と押し問答になってしまうと、
お友達家族にも気を遣いますよね。
「じゃあ、帰りにドーナツ買って帰ろうよ」「○○のビデオを見るんじゃなかった?」
という新しい選択肢を与えると、子どもはそこに興味を持つことができます。
子育てはアイデアがあるかどうかでストレスがまるで違います。
働くお母さんも「母親をがんばる」か「仕事をがんばる」かだけだと、
心がポキっと折れてしまうかもしれませんが、
「たまには一人でカフェに行く」「一時的に仕事を減らしてもらう」などの
選択肢を持てたなら、ストレスが軽減するかもしれません。
「第3の道」を見つけるためには、しなやかさと発想力が必要です。
まずは、大人が身も心もやわらかく、日々を楽しめたらいいですよね。
編集室Roots
代表
藤嶋 ひじり
(ふじしま ひじり)
保育士から編集者に転身。
日経BP社『日経キッズ+』、小学館『edu』など教育雑誌や、
NHK朝ドラ『あさが来た』など公式ドラマガイドの取材・執筆。
インタビューは1,500人以上。たまに保育士。心理カウンセラー。
庭でハーブや野菜を育てる。元シングルマザーで三人の子の母。
歌と踊りが大好き。合氣道初段。
「生きる力」を育て直す己育て(こそだて)マガジン『Roots』
http://www.ikiruchikara-roots.com