4月に引越しをしました。これまで約10年間マンションに住んでいて、そこまで荷物は多くないだろうと高を括っていました。しかし、それはとんでもない勘違いだったのです。「一体どこにこんなにたくさんの荷物が収まっていたんだろう？」と思うほど、荷物が次から次へと出てきて、不思議なくらいでした。そこで、ある物は仕方がないと気を取り直して、「これを良い機会と捉えて『ミニマリスト』になるべく物を減らそう！」と意気込みました。しかし、いざ物を出して並べてみると、どれにも愛着があり、「これは思い出の品だし」「これは○○のときに便利だしなぁ」「これは高かったから」と、なかなか手放せません。

そうこうしているうちに引越日がやってきました。完全に準備不足で、結局八割ほどは持ってきてしまいました。移った家はすでに家族が住んでいたので、そちらにも荷物があり、いわば二軒分の荷物を一軒に入れた状態。そうでなくても両方の家とも荷物が多めだったので、完全に家の許容量を超えていて、途方に暮れてしまいました。

ちょうど引越しと重なる時期に、マラソン大会出場、同窓会の幹事、子どもの卒入学など、ほかにもやることが山積みで、軽いパニック状態に陥ってしまいました。数週間は心臓がドキドキして呼吸が浅くなり、体調面でも精神面でも不安な日々を過ごしていました。いやはや、引越しって本当に大変です。

結局、たくさんの物を捨てることになり、後から自分の勝手で簡単に捨ててしまったことに申し訳ない気持ちになりました。物ひとつ取っても私のところに来たのは「縁」であるはず。それなのに物が多すぎて自分がなにを持っているか把握しきれていないことに強く自責の念を感じました。

なにか欲しいと思ったらよく考える間もなくスマホ片手に注文してしまう。物欲にまかせ、なんでも「便利」ばかりを追い求めてはいけないのではないか。少し不便でも工夫をしながら、持っている物を一つひとつ大切にして過ごしていくべきなのではないか、と考えました。

まだまだ収納しきれずに置いてある荷物も多く、片付けに時間はかかりそうです。これから少しずつ取捨選択をして物を適正な量に減らし、一つひとつの物に愛着を持ち、そしてすっきりした空間で暮らしていきたい。そう心に誓った今回の引越しでした。

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西村 初美（にしむら はつみ）

大分県出身。25歳。調理専門学校を卒業後、地元京都市生まれ。2013年よりプレマ勤務。コラムにある引越しのように何事も行き当たりばったりで後から困ることも多々。そんなバタバタの日常ですが、時には大好きな山や自然に身を置くことで心癒されています。