明けましておめでとうございます。いつもご愛読いただき有り難う御座います。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
先月号では歯科医院にかかる時の心構えについて、その中でも「力のコントロール」が大切なことをお伝えしました。今回ももう少し「力」についてお話ししたいと思います。
皆さん通常、歯にかかる力はどの位だと思いますか。個人差はありますが、ご自分の体重くらいは食いしばった時にかかっています。しかし歯は横から受ける力にはとても弱く、かみ合わせる力の2500分の1の力で歯は動揺へと導かれるのです。
横からの力を最も受けやすいのは通常上下の歯の左右4番目から7番目の歯です。ちょっと鏡を持ってご自分の歯を見てみてください。そして上の歯と下の歯を咬み合わせて噛んだまま下の顎をゆっくりと左右に動かしてみてください。どのような動きをするでしょうか。上下3番目(犬歯)の歯を誘導の歯としてその3番目の歯は最後まで当たり続け右に顎を動かした時には左の奥歯は当たらず左に動かした時には右の奥歯は当たらずにいるのが理想的な咬み合わせです。
例えば、奥歯の歯ぐきとの境目の根元が削れてきて凍みてしまうのは単なる虫歯ではなく、力による歯の破損と考えた方がよいでしょう。
このような咬み合わせを保つことがすべての歯を長く健康に保つ必要条件の一つとなります。
しかし残念ながらこのような咬み合わせを維持することは自分ではコントロール出来ません。そこで定期的に歯科医院でチェックしてもらうことが必要となるのです。
どこかの歯が高くて動きを邪魔していたり、逆にどこかの歯が高さが足りなく被せものを作り替える必要があるかもしれません。例えば成長発育期の身体の使い方や運動の有無、現在の身体の使い方も、今ある咬み合わせを作ってきた、そして今も作っていることも忘れてはなりません。
長時間パソコンをして無理な姿勢をとっていませんか。横座りしていませんか。お子さんをだっこするとき、添い寝するときいつも同じ方向ではないですか。
ご自分で気をつけられることはたくさんありますから普段の身体の使い方にもちょっぴり目をむけてみてはいかがでしょうか。
運動は健康維持やストレス発散におすすめです。しかし、左右どちらか一方を使う運動、 例えばテニスやゴルフ、剣道、野球などはどうしても同じ方向の動きが多くなり左右の筋肉や骨格に歪みを作ってしまいます。それが重大な怪我や故障に繋がるのです。プロのアスリートで現役が長く成果を出している選手は必ず片方を使ったらもう片方を充分に動かして左右の均等をはかり試合後や練習後のストレッチなど入念に行っているのです。そして必ず歯の咬み合わせをベストな状態にコントロールしています。
運動もそのやり方によって賛否は異なってしまいます。次回は運動することで出てしまう活性酸素についてお話したいと思います。
田中 利尚
田中 利尚氏 歯科医師.整体師 日本抗加齢医学界専門医 国際統合医学界認定医 「咬合(かみあわせ)を制する者は歯科をも制す」という、歯科医学の見落とされている最も大切な力学的調和という根本理論に触れ、かみあわせを追求。しかし身体が変位していると良いかみ合わせを構築できないところに西洋医学の限界を感じ統合医療を目指し東洋医学(整体)を勉強。 顎が痛い、お口が開かない、首肩の凝り、腰痛、うつ病までを含む顎関節症の治療にも取り組んでいる。 「健康は歯から」を確信している。 |