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楽だから自然なお産~高齢出産編~

出産・子育て・介護家族と向き合ういろんなお話

一般社団法人
日本マクロヘルス協会
理事

望月 索 (もちづき さく)

人一倍不摂生な出版仕事人が37 歳、40 歳、44 歳で出産、育児の経験も積み、健やかな暮らしについて学び合う協会の設立メンバーに。
編集、ライター、一般社団法人日本マクロヘルス協会理事。編著に『子どもを守る自然な手当て』、訳書に『親子で楽しむ!おむつなし育児』、『小児科医が教える 親子にやさしい自然育児』。
http://macro-health.org

「 託児」するよう、できている どう

投稿日:

本能的に自然な子育て

胎児は何億年もの進化を急ピッチでたどってヒトの形になるとよくいわれます。
母の骨盤ギリギリまで大きくなる胎児の脳は、とても小さな脳以前のものから、どんどんバージョンアップされて大きくなっている、ということ。
つまり生き物のOSの根本はみんな同じなので、いろんな動物の出産や子育てを知ると、自分たちの特徴がわかる気がして面白いです。

ゴリラの授乳期間は3年、ヒトは1年。
授乳しながら年子を産める人もいますが、一般には完全母乳で授乳していれば簡単に妊娠しないようにできていますから、授乳期間が短いぶん、ヒトはゴリラよりも出産回数をこなせるといえます。
ヒトは発情期が限られてませんから、本来ならどんどん産むタイプの動物なんですね。

ヒトの子は、骨盤から出られるギリギリの大きさの頭で生まれてくるので、脳の発達としてはまだまだ!成長の余地がある段階で出てきます。
新生児はひよひよで、自分ではほぼ何もできません。
一度に産む人数が少なくて、出産回数をこなして多産になるヒトの母が、ひとりでひよひよの赤ちゃんを育てるのには無理があります。
だから、ヒトの母はもともと仲間に「託児」するようにできているんですって。

サルの赤ちゃんは、お母さんにしがみついているイメージがありますよね。
多くのおサルさんは、スリングやベビーキャリーやラップなどを使わずとも、赤ちゃんを Baby wearing しています。
赤ちゃんを常に運ぶ種類のサルもいれば、ゴリラやチンパンジーやオランウータンといった、巣を作ったうえで運ぶ種もいます。
一方、巣を作らずとも託児するサルもいて、私たちヒトは、巣を作るし託児もするし、運ぶこともあるという、確かに進化形。

たくさん産むであろう子どもを、工夫しつつ、共同で育てていくのが自然なんですね。

イライラはママのせいじゃない

そう考えると、親族の支援もなかなか得られず、「託児」にプレッシャーのある今の社会って、本当に優しくありません。
あまり群れないタイプだった女性でも、妊娠するとモードが変わったりしませんか?

ママ友作りは妊娠中から始まることも多いです。
共同で子育てするのが動物として本来のあり方なのに、妊娠・出産に適した群れがないからだともいえます。

産科医療も母子のつながり作りを重んじる形で運営されないことが多く、本能的に獲得できるはずの母子の絆を、後天的に結び直さざるを得ないケースも多々あります。
絆を結び直しつつ、子育て対応できる群れも構築するという、今の女性の妊娠・出産って必然的にストレスフル。

出産時に大量に分泌され、授乳することでもどんどん出てくるオキシトシンは、愛情ホルモンといわれていますが、攻撃的にもさせるホルモンなんだそうです。
育児に非協力的な人は「攻撃の対象」になるそうで、環境や旦那にイライラするのも納得かと!

子どもを持って初めて知りましたが、「6歳臼歯」という永久歯が後から生えてきます。
ゴリラは乳児期の3年が過ぎたらもう歯が生え揃っているんですって。
ヒトの子どもは授乳が終わってもまだ歯も生え揃っていません。
他の種に比べて、ずうっと子どもである子を抱え大変な思いをしているママや、妊娠中にひとり不安な妊婦さん。
それはあなたのせいではなく、動物として当たり前ですよ!

さらっと快適。

自然の力も科学の知恵も宿る、こういうもので心身をととのえて。

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「 託児」するよう、できている どう

- 楽だから自然なお産~高齢出産編~ - 2018年9月発刊 vol.132

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