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楽だから自然なお産~高齢出産編~

出産・子育て・介護家族と向き合ういろんなお話

一般社団法人
日本マクロヘルス協会
理事

望月 索 (もちづき さく)

人一倍不摂生な出版仕事人が37 歳、40 歳、44 歳で出産、育児の経験も積み、健やかな暮らしについて学び合う協会の設立メンバーに。
編集、ライター、一般社団法人日本マクロヘルス協会理事。編著に『子どもを守る自然な手当て』、訳書に『親子で楽しむ!おむつなし育児』、『小児科医が教える 親子にやさしい自然育児』。
http://macro-health.org

覆面がもたらすもの

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マスクと母乳

妊娠中は、体調に気遣って、マスクをする人が多いという統計があります。さらにいまは、妊婦には、「薬等の使用が制限されることから、一般の方以上に体調管理に気をつける必要がある」ので、希望すれば月2枚、布マスクが配られるようですね。

日本マクロヘルス協会では、正しい呼吸について歯医者さんに教えていただく講座を継続的に開催しています。離乳食を食べるような1歳半くらいまでのお子さんがいる人向け、それよりもう少し大きい未就学の子どもがいる人向け、など、子どもの足腰および口腔の発達にあわせた呼吸の講座もあり、離乳食世代の呼吸の講座では、呼吸と母乳の質が関係する、というようなお話も出てきます。

息のしかたによって母乳の質が変わるのなら、臍帯を通って伝わるものにも影響があるのではないでしょうか。

マスクをつけると息苦しいことからもわかるように、呼吸にとってマスクはマイナスです。たしかにつわりのときなど、マスクをしていたほうがらくな局面もありますよね。わたしも、においががまんできなくて、マスクのお世話になりました。不織布のマスクは、マスクそのものが臭くてがまんできなかったので、布マスク……。

でも、ずっとマスクをつけるような出歩きかたは標準ではありませんでしたから。ただでさえ妊婦は体感が暑いのに、暑い季節にマスクは、さらに暑いです。熱中症の危険も指摘されていますし、マスクをしていると実際苦しいので、口呼吸になりやすいです。エチケットのためのマスク装着でしたら可能なときはしないで過ごしてほしいし、鼻で息ができているか、常にチェックしていただきたいと思います。

マスクと子ども

大人はとかくマスクだらけですが、日本小児科学会からも、乳幼児へのマスク装着は、窒息の危険があるとお知らせされていますから、小さい子にマスクをつける人は、ほぼいないはずですよね? 重ねて、周囲の大人は、自分のマスクにも注意していただければと思います。授乳するとき、あやすとき、遊ぶとき、話すとき、子どもと対面する大人が、マスクをつけっぱなしにしていませんか?

小さい子どもは、人の顔から、びっくりするくらい多くを学習しています。赤ちゃんは、親と同系の顔の人に、きちんと反応するという研究もあります。小さい子どもが、ぎょっとするくらいあけすけに、外国の人に質問するようなこともありますよね? とにかく子どもは人の顔を見るんです。

赤ちゃんのうちはあらゆる言語を聞き分けられるのだが、そのうち、必要のない音は聞き分けられなくなっていくという、言語の臨界期は有名です。同じように、人の顔の見分けについても、臨界期があるのだそうです。なのに、子どもと日常接する人間が、顔の半分をおおっていると、人の顔から学ぶはずの情報を、その子は得られないまま大きくなります。

まったく知らないヒトの群れのなかに入っていけるのが人類の特徴で、ここにいるヒトは敵ではないと、信じられないほど瞬時に見分けられるから、それができるんだそうです。社会的動物として、赤ちゃんは、子どもは、大人の顔から学ぶ必要があり、学んで見分ける能力に傷をつけるのは、きっと、とても深刻なこと。自分の体のためにも、子どものためにも、マスクが癖にならないよう注意してください。

心配がつのるなら、しのばせてみて。お産本番にもおすすめです。

- 楽だから自然なお産~高齢出産編~ - 2020年8月発刊 vol.155

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