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野村隆哉先生より

【Vol.44】口蹄疫と 鳥インフルエンザのお話(その二)

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さて、前回引用したジェレミー・リフキンの著書にあった「ウシは地球の陸地面積の4分の1で草を食んでいる」という文章の裏付けになる事実を私自身が目の当たりにしたことについて少しお話ししましょう。1984年、ブラジルの竹資源の調査と研究指導のためにサンパウロ大学に1年間滞在していた折、見聞きしたことです。

ブラジルの国土面積はわが国の約22.5倍、人口は1億6千万人で、人口密度(人/平方キロ)は、わが国の5/100という広大な国です。この国の牧畜業は恐るべき杜撰な方法で行われています。放牧地を造るのに巨大なブルドーザー2台で直径1mもある鉄の球を引きながら樹木をなぎ倒し、その後火を点けます。一面焼け野原になったところに草が生えてきたのを見計らってウシを放牧します。飼育は実に粗放で、ウシ1頭当たり必要とする放牧面積は2ヘクタール(6千坪)、100万頭のウシを飼うためには1千万ヘクタール(300億坪)の面積(約100キロ×100キロ)が必要です。これらの数字で想像してみてください。「ウシは地球の陸地面積の4分の1で草を食んでいる」という話を具体的にイメージ出来るでしょう。ブラジルの大牧場主たちは、一辺60キロ(3600平方キロ)に杭を打って6本の鉄線で囲い込めば、その囲い込みの内側を私有できるのです。貧乏人ではとても出来る話ではありません。囲い込みが終わると、その中に住んでいたインディオや農民たちは全て追い払われてしまいます。抵抗すれば、ズウショ(牧童)や私兵によって皆殺しです。昔、アメリカの開拓時代にも同じようなことがインディアンやバファローに対して行われていたのでしょう。インディオの人々は私達日本人と同じ人種ですから、やり場のない憤りで身体が震えたのを鮮烈に思い出します。

ニワトリについても全くおなじことが行われています。京都大学で現役の折、竹炭、竹酢液の利用について色々指導していたのですが、竹酢液の消臭機能をニワトリの糞の消臭に使いたいので現場を見て頂きたいとの要請で、能登半島の山の頂上にある養鶏場を訪ねた折のことです。ニワトリが、生まれてから卵を産めなくなって廃鶏として出されるまで生涯を一羽分だけの狭いケージの中で過ごし、餌を与えられ卵を産み続ける光景は異常です。嘴は給仕の際餌を撒き散らさないように先が切り落とされています。鶏舎は二階建てになっていて、排泄物は一階に落ちるようになっています。そこには高さ2メートルを超える糞の山が出来ていて、たまたまでしょうがそこに落ちたニワトリが糞の山の中で餌を探して歩いているのを見付けました。助けてやらないのかと尋ねたところ、そのままにしておくとのこと。いのちに対する憐憫の情は少しも感じられませんでしたが、当事者はニワトリを生物とは思っていないのでしょう。そのようなことを少しでも考えれば商売が出来なくなるのも現実です。

もう一つ驚いたのは、養鶏場独特の悪臭があまりしなかったことです。訪問の目的が糞の消臭ですから、肩透かしを食ったように感じました。臭いのしない理由は、ニワトリに与えられる大量の抗生物質が原因だったのです。この抗生物質が糞と一緒に排泄され、糞を分解するバクテリアの増殖を抑えていたのです。更に驚いたことは、直径2メートル、高さが3メートル近いコンクリートの円筒の中に山のようにニワトリの死骸が積み上げられていたのですが、これからも死臭がせず、ミイラ化しているのです。カラスは死臭を嗅ぎわけ集まってくるのですが、その上を飛んでいくカラスは見向きもしなかったのです。正に、恐るべき光景でした。このことから推測できるように、大量の抗生物質がニワトリの体内、それにひょっとすると卵にも蓄積されている可能性も考えられます。

廃鶏は鶏肉としていろいろの加工食品に化けて使われているでしょうし、もう一度肥育して鶏肉としても出回っているはずです。採卵作業の過程で殻にひびが入ったり割れたりしたものは、中身を取り出し卵液として専門の加工業者に流れ、市販されている卵焼きや出し巻きの原料に使われます。

私達は、現代の消費文明社会の下、巨大化した物流システムの中でほとんど何も知らされず、知ろうとせず快適な生活を求め続けているのです。今回の原発事故はその象徴的出来事です。重たい話ですが次回もよろしく。

 

野村隆哉

野村隆哉(のむらたかや)氏
元京都大学木質科学研究所教官。退官後も木材の研究を続け、現在は(株)野村隆哉研究所所長。燻煙熱処理技術による木質系素材の寸法安定化を研究。また、“子どもに親父の情緒を伝える”という理念のもと、「木」本来の性質を生かしたおもちゃ作りをし、「オータン」ブランドを立ち上げる。木工クラフト作家としても高い評価を受けている。
オータンの「木の動物たち」 >>

 

- 野村隆哉先生より - 2011年5月発刊 Vol.44

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