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野村隆哉先生より

【Vol.41】オータンと干支の卯のおはなし

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「らくなちゅらる通信」~子どもと情緒~でおなじみの野村先生より、新年にことよせて、オータン、干支の卯についてお話をうかがいました。
新しい年のはじまり、かわいらしい卯とともに、温かな気持ちをお届けします。

 私が木の動物を作り始めたのは今から40年前、長女が三歳になった頃親父の情緒を娘に伝えたいと考え、下手でも自らの手で作ったものを与えたいとの想いからであった。この想いは私の父親から受け継いでいる。父親は絵心のある人で押入れの壁に切り絵でメルヘンの世界を作ってくれた。トンネルから煙を吐いて出てくる蒸気機関車、空にはトンボやチョウチョが飛び交い、杉木立に花畑。一畳の空間は幼い私にとって空想の世界に浸るには十分な大きさであった。小学校の夏休みの宿題であった工作も色々アイデアを出し手伝ってくれた。娘に対するオモチャ作りも父親からの情緒の伝承と思っている。

 長女の生まれた頃、わが国は高度経済成長の真っ只中にあって古いものは惜しげもなく捨てられていた。昔の三高、京都帝大時代のケヤキやチークの素晴らしい実験台が捨てられていたのである。あまりにも勿体ないので拾い集め、その廃材を利用させてもらった。木の動物たちがオモチャの中心になったのは娘のリクエストに基づいている。「カバさんくてって(作って)。」「ゾウさんくてって。」暇を見付け大学の木工場で苦労して作ったものを娘に見せると、必ず「変な」という言葉が付いた。しかし、キリンを作ったときは素直に喜んでくれた。このキリンは40年近くを経た今でも我が家に陣取っている。次女も長男もこのおもちゃで遊んだ。念願の長男が生まれたとき、父親の切り絵を思い出してコンピューターの用紙に鉄道の絵を描いてやった。長さが3mにもなったが、これを六畳の部屋に広げ誰にも触らせないので女房は掃除も出来ないとぼやいていた。この絵を通して息子は定形からはみ出して自由に絵を描くことを覚えたようである。

 このようにして作り溜めたものをギャラリーに出したところ大変な評判になり、一躍木工芸作家になってしまった。工芸展で大賞、通産省のグッドデザインにも選ばれた。大学の研究の片手間に生まれたものであるから、これで飯を食うわけでもないので少しでも世の中に役立てばと考え、山村での地場産業の一つとして育ててみようと京都大学芦生(あしゅう)演習林のある集落に工房を作ることにした。この工房での製品のブランド名を考える中で、次女が私たち父母を「オータン」「アータン」と呼んでいたのを借用し、「オータン」にした。「オータンの木の動物たち」の誕生である。材料から人材、中古の木工機械の手当てから全て準備して芦生木工組合を立ち上げたが、周りに木があふれている山村の人々にその価値を見直してもらうのには苦労した。

 その中で、子供のオモチャではなく正月の縁起物として使う干支を作り始めたのは今から19年前である。20年前に岐阜県の木材業者が、木曾ヒノキの端材を活用して干支の未(ヒツジ)を作りましたと送ってきたのがきっかけになった。端材とはいえ天然ヒノキの銘木である。その木っ端でも数百年の履歴を持つ。それが何ともいえない貧しい作品になっていた。これではあまりにも勿体ないと、次の年の申(サル)を私が作り送ることにした。根は物作りが好きだから材料にする木材を見ながら次の年の干支のイメージが浮かんでくるよう何時も意識付けしておく。一つのイメージが湧いて来るとすぐさま紙に描き、それを基に試作する。ところが、材料にする木材という代物は樹木が数十年、数百年のいのちを紡いできたものであるから木っ端といえども強烈な個性を感じる。そのようなわけで、紙に描いたイメージは木によってはにべもなく拒絶されてしまうことがある。木材の個性を活かすために必要なのは、素材と対話しながらデザインする際足し算ではなく引き算にしなければならないことが、すなわち、「シンプル イズ ベスト」であることがだんだん分かってきた。それと、スギ、ヒノキなどの針葉樹とクリ、ケヤキなどの広葉樹は互いに相容れない関係にあることも分かった。

 干支は新年のハレの場に置かれる大切な縁起物である。この場には不思議とヒノキの白木が相応しいが、平成23年の干支、卯を作るに当たってはヒノキでは冷たすぎると感じていた。そこで、私の長年の研究テーマである燻煙熱処理によって形状・寸法安定化を行ったスギ材を用いたところ、傷が付きやすく加工が困難という従来のスギ材の欠点が見事に払拭され、ウサギの何ともいえない愛らしさやぬくもりが表現された。

野村隆哉

野村隆哉(のむらたかや)氏
元京都大学木質科学研究所教官。退官後も木材の研究を続け、現在は(株)野村隆哉研究所所長。燻煙熱処理技術による木質系素材の寸法安定化を研究。また、“子どもに親父の情緒を伝える”という理念のもと、「木」本来の性質を生かしたおもちゃ作りをし、「オータン」ブランドを立ち上げる。木工クラフト作家としても高い評価を受けている。
オータンの「木の動物たち」 >>

- 野村隆哉先生より - 2011年1月発刊 Vol.41

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