花が咲いた後、実の入った花托(かたく)が肥大した様子がハチの巣に似ているため、古くは「蜂巣(はちす)」、と呼ばれていたのが略されて「はす」と呼ばれるようになったと言われている蓮の花。蓮の花は泥の中で育つのにもかかわらず、キレイな花を咲かせるところから、浄化力が強いイメージや尊さを象徴する花として知られています。お釈迦さまも「蓮華経」として蓮の花をイメージした教えを残して下さっているのを皆さんはご存知ですか? 蓮華経を調べたことを私なりに簡単にまとめてみると、「人は泥のように混沌とした中で生活していても自分を見失うことなくそれに染まることなく美しく自由自在に生きることができる」という教えのようです。
そうそう。私の主人は自分の魂の声に気がつける半断食セミナーを、新潟県の十日町市にある2000年前の種から再生させた「大賀はす」※という蓮の花の池のほとりで毎年行っているのですが、それも自由自在に生きるエネルギーを生命力の強い大賀はすから体感したいからだそうです。
私は人生の転機で煮詰まっている時に何度か「蓮の花のように」という言葉を尊敬している先生からいただいたことがあります。その時は「清く美しく生きる」という意味にその言葉をとらえていましたが、本当の意味はそうではなく「あなたらしく生きる」というメッセージだったのだということが、今、わかりました。
マクロビでは食べるものが持っている本来のエネルギーをもらうことで自分のカラダを創るということを大切にしています。「本当の自分を見つける」という暗示をもらっている2011年。今年だからこそ、蓮の花が泥沼の中でも咲いたように、何にも脅かされない自分を見つけることができるように蓮根のお料理をたくさん作ってみようと思っています。
なぜ蓮根のお料理かというと、蓮根は蓮の花の地下茎になるからです。
昔の日本人は蓮根を食べると「見通しがよくなる」と言い、蓮根の通す力を食べることで取り入れようとしました。それ以外でも蓮根は、鼻水や咳の症状が出たときに症状を和らげることを助けるお野菜として昔から食べられてきました。泥沼で育っても穴を通す力を持っていることから、気管支や鼻腔に蓄積している粘液=ねばってる泥のようなものを排泄することを助けてくれる力を持っていると昔の人は思っていたのです。実際に私も咳や鼻水で困った時に蓮根湯を飲んですっきりとした経験は何度もあります。最近では、医学的にも花粉症やアレルギー性鼻炎には蓮根を食べることが有効と認められてきているそうですよ。
秋から冬にかけては風邪もひきやすく、鼻づまりや咳で悩む方も多くなると思います。そんな時にはビタミンCも多く含む蓮根はきっと役にたつお野菜になると思います。
そして何より、「どんな状態でもキレイな花を咲かせる力」を、蓮根を食べることで取り入れて2011年の収穫を手に入れていきたいなと思っています。そのものが持っている力を取り入れる食べ方をするのが、マクロビオティックが教えてくれる食べ方のひとつなのです。
中 美恵
※大賀はす 1951年、千葉で大賀一郎博士は2000年前のはすの実を発掘して花を咲かせ、その名を世界にとどろかせました。
.。゚+..。゚+.☆ 今月のMie’s Recipe ☆.。゚+..。゚+
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中美恵
中美恵(なか みえ)氏 KII認定 マクロビクッキングスクール校長 東京南青山プライベートサロン Mie’s Room 主宰 1997年に、KII認定マクロビオティックカウンセラー・中広行氏と出会い、料理法や理論を学び始める。 2000年「おいしく、楽しく」をテーマにした「マクロビクッキングスクール」を大阪に開校し、全国に展開。現在は料理に留まらず、マクロビオティックに出会うことで多くの可能性を手に入れた自身の経験を活かし、「年を重ねるごとにキラメキを増す」「今の時代に望まれる素敵な女性」をテーマに、多彩な場面で活躍中。 中美恵公式サイト https://miesrecipe.jimdo.com/ >> |