今さら聞きにくい「よく聞く言葉」を詳しく解説します
最近、よく見聞きする「オーガニック」という言葉。海外在住の友人からニュアンスが違うと聞きました。化粧品などにもオーガニックという言葉が使われていますし、漠然とした意味しか知らないので教えてください。
(鎌倉市在住・ナチュラル志向ビギナーより)
イメージではなく具体的な言葉の意味を理解することが大切
日本でも聞き慣れた言葉になってきた「オーガニック」。多くの方は自然や身体に優しいというイメージを持っているようです。しかし、それは非常に狭い意味でのオーガニックだといえます。そこで、僕独自が解釈する日本におけるオーガニックの3つの側面をお話しし、具体的な意味合いがそれぞれにあることを理解していただきたいと思います。
一つ目は、言葉の本質的な意味で使われるオーガニックです。オーガニックの語源はオリジン。日本語的には「起源的な」「本質的な」などと訳され、英語のニュアンス的には「昔からの〜」という、そもそもの語源があります。化学的なものを使わない農法という意味が英語にある流れで、オーガニックという言葉が使われてきたということを知っておくといいでしょう。
二つ目は、農法としてのオーガニック。農業を行ううえで、より本質的で根源的な方法をとることをオーガニック農法といいますが、根源的な農法が有機物(堆肥、糞、草木や穀物を発酵させたもの)を使った農法かというと、そうとも限りません。オーガニック=有機農法という表現も微妙に差異があります。そこが日本人と欧米人それぞれが想像するイメージに微妙なズレが生じる原因だと思います。また、日本では肥料を全く使わない自然栽培と、有機栽培との解釈の違いによる対立軸があることも知っておくといいかも。より自然回帰的なことを目指し、そういうムーブメントや行動を起こすことをオーガニックと呼ぶのです。
最後に、法制度としてのオーガニック。国が変わると法律も異なるように、日本と欧米諸国では多くの違いがあります。日本では有機JAS法という強い法的規制が敷かれているため、有機JASマークを表示するには、求められている要件をクリアし審査を通過後、認定を受けなければなりません。実際に審査するのは委託を受けた民間団体ですが、認定機関を通じ、最終的には農林水産省が発行します。よって、有機JASマークが付与されるのは国の法律に準じた場合のみとなります。
一方、ヨーロッパ、アメリカにおいては国も半ば関与はあるものの認証には関わらず、民間の認証団体が決定権を握っています。また、オーガニック農法に類するような認証制度がいくつもあって、それぞれに違う視点をもって評価のうえ、マークを発行しているとも聞きます。次回は制度としての有機JAS法について詳しくお話したいと思います。