堂々と街中でキスをするゲイカップル。最近、ハマっている海外ドラマ「ER」のワンシーンです。
LGBTQ※をテーマにしていなくとも、最近はいろんな形のパートナーがスクリーンに登場するのを目にします。人が人に好意を持つことは、相手が異性であれ、同性であれ、何であろうと自然なことだと思います。そこでいつも私が感じるのは、自分を型にはめる必要はないということです。
ふと、小学校の道徳の時間に「自分のアイデンティティを書いてみましょう!」というような授業があったことを思いだしました。プロフィール用紙に出身地、将来の夢、自分が好きなことなどを書き込んでいくものです。とても単純な作業なのですが、私は出身地の欄に何を書いたらいいのかとても考えました。生まれは福岡県です。ただ、転勤族ということもあり、育った場所は日本以外にもオランダ、ドイツと国境をまたいで転々としています。そのため、今まで自分が住んでいた場所すべてを書き込みました。そのとき、先生に言われたことが今でも忘れられません。「出身地は、1つでいいのよ」と。小さな枠のなかにぐちゃぐちゃの字でたくさんの文字を羅列していたので、先生はそれを見て優しさで言ってくれたのかもしれません。しかし当時、小学生の私は「なんで、1つにしないといけないんだ!」と強く感じたことを鮮明に覚えています。でも、そこは小学生。先生の言葉を素直に受け入れ、消しゴムで文字たちを消して皆と同じように「福岡県」と書きました。本当は、オランダとドイツも書きたかったのに……。
いつしか、私は「なるべく目立たないように」「周りと一緒になるように」と帰属意識ばかりにフォーカスするようになり、自分を型にはめることにこだわっていました。そうやって、本当の自分を隠すことに慣れてしまい、自分が誰なのかわからなくなることが多々あったのです。
昔の私を知っている人は驚くかもしれません。今の私は、人と違うことこそが自分をユニークにすると確信しているからです。それは「違い」を前面に出して主張したり、相手に押し付けたりするわけではありません。「自分を自分自身から隠さないこと」を大切にしたいなと感じています。
こんなことを書いていると、「若造が何を偉そうにいってるんや!」と言われそうですが、それでも私は、何歳になっても自分に素直に生きたいなと感じています。
※レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)、ジェンダークィア(Q)の頭文字を取った略語。セクシャルマイノリティを総称する言葉
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京都三条本店 店長 林 美緒(はやし みお)
関西大学外国語学部卒業。フルマラソンの自己ベストタイムを目指して、日々奮闘中。最近のマイブームは、迷子になること。地図に頼らず、適当に歩いているとおもしろいものに巡りあえるので休みの日はよく迷子です(笑)。