10月22日、京都市内にある「Bonjour! 現代文明」という町家イベントスペースで、イベントをおこないました。タイトルは、「Wazawaza Zawazawa」。 この作品は、今回が初演ではなく、2回目の公演でした。
そこで、今月のコラムでは、まずは初演についてご紹介し、先日の公演については、次回以降のコラムでご紹介することにしたいと思います。
作品づくりの発端
「Wazawaza Zawazawa」の初演は昨年11月、京都アバンギルドのFOuR DANCERS vol.234というイベントでした。このときは、ダンサーのHeidi S, Durningさんと、ミュージシャンのryotaroさんとの共演でした。
Heidiさんとの共演が決まったのは昨年の初夏のごろでした。その後、11月のイベントまでの間、私とHeidiさんは何度か稽古をし、会話を重ねながら、作品を作っていきました。
このとき、作品づくりの端緒となったのは、衣装でした。タイトルもコンセプトも決まらない時期、衣装として選ばれたのは、鮮やかな緑色のジャケットと、黄色のジャケットでした。そして、私たちは、2着のジャケットから、作品の構想を膨らませていったのです。
作品の内容
実際に衣装をまとい、二人で動いたり、会話をしたりするうちに、徐々に作品のイメージやコンセプトが明確になりました。
具体的には、人と人とが出会って会話が始まり、会話がまた新しい会話を創り、さらにその会話がまた次の会話を生成してゆく……。そうした会話により紡がれる2人の関係を、映画風に表現することを試みることにしました。もっとも、「会話」といっても、舞台上で実際に言葉を用いて会話するのではなく、互いに身体でコンタクトをとるというようなイメージです。
また、私たちの普段の日常における会話がそうであるように、そのとき、その場で生まれた一回きりの生の会話にこそ命が宿ると考えました。そこで、いくつかの要所となる場面を除き、あらかじめ準備された会話を舞台上であたかも標本のように提示するのではなく、そのときその場で生まれた動きに対応し合い、生の会話を丁寧に紡いでいくことで、決して再現できない一回きりの物語を作ることにしました。
この場合、何度も稽古を繰り返してしまうと、お互いの動きに慣れてしまい、会話が停滞すると考えたため、あえて稽古の頻度も限定しました。また、ミュージシャンのryotaroさんとは当日まで打ち合わせをせず、当日、舞台上で即興的に生まれる音楽によって、ダンサー二人の会話を引き出してもらうことにしました。
本番、そして再演へ
本番では、ryotaroさんの見事な舵取りにも助けられ、そのときその場で生まれる会話を丹念に繋ぐことができたと思います。ありがたいことに、観客の皆さんからも、嬉しい感想と多くの拍手をいただきました。
そして、私とHeidiさんは、Wazawaza Zawazawaを再演することに決め、その公演が先日催されたわけですが、このときの公演については、また次回以降、ご紹介したいと思います。
写真:Kaori Yoshimoto