累計122万件出荷!自然食品・自然療法・エコロジー・らくなちゅらる提案サイト

中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

【Vol.103】新生、ゼロなる母へ

投稿日:

本誌らくなちゅらる通信は今月号から大きくリニューアルしました。ご覧いただいているように、従来の新聞型から雑誌型になり、ご自宅以外の場所でも読みやすくなりました。また、特集記事の充実をはかり、読者の皆さまにより「らくなちゅらるな暮らし」へのアイディアを巡らせていただけるように工夫を重ねています。さらに稚拙で恐縮ですが、表紙の写真は私があちこちを歩いているなかで、瞬間を切り取った写真をあしらいデザインしています。

原点回帰

気がつけば、私がこの仕事を始めて16年の歳月が経ちました。最初は「びんちょうたんコム」というサイト名にも現れているように、京都と和歌山にあるびんちょうたんの窯元への往復の日々でした。昔からある炭という存在が、単に燃料としてだけではなく、生活から化学物質をなくすために素晴らしい効果を出してくれていることを知り、驚きを感じたものです。特にびっくりしたのは、炭の副産物である木酢液の存在でした。備長炭は、炭の中でも白炭といわれる1000度以上の石窯内部で焼かれる炭です。焼くといっても、原料となるウバメガシには樹液が含まれていますから、窯の内部では蒸し焼きのような状態になります。樹液は蒸気となって長く伸びた煙突から吐き出され、煙突の途中で冷えるとまた液体となります。これを集めたものが木酢液の正体ですが、それはそれは素晴らしい効果があります。「炭焼きに水虫持ちはいない」という伝承があることからもわかるように、木酢液には皮膚の問題に極めて高い効果を示します。お風呂に入れたり薄めてスプレーしたり、または原液で塗りつけたりと、あらゆる方法で使うことができます。消臭や殺菌効果に優れますし、家庭菜園では天然農薬代わりに病害虫対策に役立ちます。家に1本あれば、ドラッグストアやスーパーで買う生活用や皮膚用の化学物質のたぐいはほぼ必要なくなります。炭は昔からあるのに、当時はこのようなことを知る人は極めて少なく、炭を売っていますといいますと「燃料やさんですか?」とよく聞かれたものです。いいえ、私は燃料を売っていたのではなく、新しい価値を売っていました。

ネットで販売する前は、あちこちの伝統市にでかけ、「備長炭も木酢液も食品、化粧品のいずれでもありませんから、全ては自己責任です。どうなっても責任取れませんよ」と、お伝えしながら販売しました。翌月、その場所にお客様が戻ってきて、どうなったかの報告と、ありがとうの声をいただきます。これで何をしても治らなかったアトピーや水虫がきれいさっぱり治ってしまったとか、歯周病や糖尿病から救われましたとか、期待以上の声が戻ってきて、ほんとうにうれしかったのを覚えています。そして、私はますます炭の世界を探検し、炭を食べるとどうなるかや、米や豆、梅などを炭化させるとどうなるかという探究心から、黒焼きの薬理と陰陽から世界を眺めるマクロビオティックの世界に引き込まれていきます。

大切な人

夏の炎天下、そして、凍るような真冬の伝統市で声を嗄らす私の足下で遊んでいたのは、当時はまだ小さかった一人目の娘です。彼女はインドで生まれ、私たちが日本に帰ってきたときには山一証券が倒産する前年、つまりバブルの崩壊後の大不景気のときでした。私はすぐにでも稼がないとと思い夜の街を駆けるタクシー乗務員となり、お客様と一期一会を繰り返しました。たった数分から数十分の時間ですが、私はお客様の命を預かっています。命を預けてくださるお客様には、普通のタクシーでは得られない経験を得ていただこうと、最大の注意とおもてなしを提供したつもりです。「運転手さん、こんなに素晴らしい時間をタクシーで感じたことはないよ」「あなたは、運転手をやるような人じゃない」と繰り返しお客様からいわれ、縁あって小さな薬局に就職。過去2回の末期ガンの介護経験とアーユルヴェーダの知識を生かして健康相談と自然薬の販売をしました。私の愛娘がアトピーであったことは、私の知識欲と経験を加速しました。アトピー治しは薬や「もの」じゃない、結局は受け入れる気持ちだとわかった瞬間に彼女から炎症は消えたのです。その後、5人の子どもに恵まれ、一人産まれるたびに大切な人は増えましたが、その一方で、いつもタクシーの情景を思い出します。

『この私の背中で命を預けてくださるお客様にはきっと大切な人がいるはずだ。だから、私は命をかけて、この方をお守りしよう。それがいま、私ができる全てのことだから』

そして、私は逆に多くを得ました。こんな不景気ではタクシーの運転くらいしかできないと思っていた私に、「あなたにはもっと大事なお役目があるのだから」という、私が知らない私についての解釈を与えてくださったのは、過去、私のお客様になってくださった全ての方なのです。これからも、大切な人へのご恩返しの日々は続きます。

プレマ株式会社

代表取締役
中川信男
(なかがわ のぶお)

京都市生まれ。文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。
1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。
保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

- 中川信男の多事争論 - 2016年4月発刊 Vol.103

今月の記事

びんちょうたんコム

累計122万件出荷!自然食品、健康食品、スキンケア、エコロジー雑貨、健康雑貨などのほんもの商品を取りそろえております。

びんちょうたんコム 通販サイトへ