乳児期から幼児期にかけて子どもの食事の進め方について書いています。授乳期から離乳食を経て、1歳になるころには大人が食べているものとほとんど同じものが食べられるようになります。しかし、よちよち歩きのころは生活のさまざまな場面で大変なことがたくさん起こり、食事についても例外ではありません。この時期の子どもにいつ、どこで、どれだけの食事を与えるのかという問題は、PBWF(プラントベースホールフード:植物性の食材をなるべく精製加工することなく食べる)の場合も、一般的な食事をさせている子どもたちの場合もなんら変わりがありません。2~3歳は「新しいものへの警戒心」が目立つ年代です。赤ちゃんのときにはなんでも食べていた子どもも偏食になったりします。しかし、大人は子どもに与える食事の主導権を持ち続けることができます。子どもが拒否したとしても、さまざまな種類の食事を根気よく与え続けることは非常に重要です。
2~3歳くらいまでの子どもは、胃が小さく1度に食べられる量が少ないため、活動力と集中力を持続できる時間が短いです。そのため高密度のカロリー、高密度の栄養を少量ずつ頻回に補給する必要があります。子どもの食欲は日によっても1日のうちでも、劇的に変化します。1日に食べる量を5~6回に分け、少量ずつ食べ物を与えます。食べる量にムラがあっても気にする必要はありません。子ども達は必要なカロリーを摂取することに長けています。お腹が空いたら食べると思うくらいで大丈夫です。餓死するようなことはありません。日々の移り変わりで悩むことなく、1週間を通して考えるくらいでいいと思います。
食事の種類
繰り返しお勧めしている通り、大人も子どもも食事はPBWFで食べるべきです。赤ちゃん用のお菓子や歯固め用ビスケット、レトルト食品などは「ジャンクフード」(高カロリー、高塩分でビタミンやミネラル、食物繊維があまり含まれない栄養バランスを欠いた食べ物)かもしれません。外出先で与えるにはとても便利ですが、多くの場合、甘味料が添加されており、パッケージに写っている野菜はほんの少量しか入っていないかもしれません。さらに加工食品には乳成分が含有されている場合が多く注意が必要です。特に消化能力が未発育な3歳未満の子どもが牛乳を飲むとⅠ型糖尿病の発症要因になることがあることを覚えておいてください。
加工食品は必ず成分表をよく読み、PBWFの成分で作られていることを確認してください。塩、砂糖、油が添加された食品は避けるようにします。
穀物について
日本人は離乳食初期から頻繁に米を与える傾向にありますが、水田で栽培する稲は産地や栽培方法によってヒ素やカドミウムなどの重金属を吸い上げている可能性があります。農薬は糠の部分に残留しやすいことから精米することで一定の割合で除去されますが、作物の成長過程で吸い上げられた重金属は精米ではほとんど減少しません。毎日食べる米については慎重に産地・栽培方法を吟味する必要があります。穀物については米だけにこだわらず、オーツ麦、大麦、とうもろこし、キノアなどの雑穀も取り入れてください。どの穀物を選んだ場合もよく火を通し、発育時期に応じた形状で与えることが必要です。カロリー密度が高く、必要なエネルギーが摂取でき、アレルギーの心配が非常に低く、鉄の供給源となる穀物は、幼児に与える食べ物として重要です。特に生後4ヶ月ごろの赤ちゃんは鉄の備蓄が欠乏し始めますので、鉄分を多く含む食事を意識して与える必要が出てきます。しかし、鉄の摂取源は穀物だけではありません。豆類や葉野菜も鉄分を多く含みますので、赤ちゃんの食事に加えるようにします。