ビタミンD
ビタミンDという名称が定着していますが、ビタミンDは「ビタミン」ではなく、紫外線を浴びることによって生成される「ホルモン」です。子どもにビタミンDが不足すると、発育の遅れや骨軟化症(くる病)のリスクが高まります。ビタミンDは強い骨を作る以外に、ある種のがんや循環器疾患、糖尿病、多発性硬化症、筋肉及び関節の病気予防に効果があります。炎症を軽減し、免疫を調整するという研究もあり、これらは大人にも共通しています。食物では、きのこや魚、卵、乳製品に含まれますが、含有量が少ないため、食事から必要量を摂取するのは難しいのです。そのため十分にビタミンDを得るためには努力が必要です。
形成外科医として、日々紫外線防御の指導をおこなっているので悩ましいのですが、ビタミンDを得る一番良い方法は日光を浴びることです。しかし、仕事も余暇も屋内で過ごす時間が多い方がいらっしゃるのではないでしょうか。さらに外出時に日焼け止めを使用すれば、ビタミンDの合成に必要な紫外線を浴びる時間が減ってしまいます。適切な量のビタミンDを生成するために必要な日光暴露時間は日焼け止めをつけずに日中の太陽に両腕を20~30分晒すことです。赤道からより離れて暮らしている人、肌の色が濃い人、肥満の人はより長い時間が必要です。適切な日光暴露ができない場合と、皮膚が敏感で直射日光への曝露を最小限にする必要がある1歳未満の赤ちゃんには、サプリメントが必要です。アボカドやナッツのような脂質が多い食べ物は、ビタミンDの吸収を約40%増加させます。ビタミンDは血液中に24~48時間しか留まらないため、毎日生成するか摂取する必要があります。体内のビタミンDの状態は調べることができます。私のクリニックでも検査をおこなっていますので、心配な場合は調べてみてください。
オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は、健康維持に欠かせない栄養素であり、体内で合成できないため、食事からの摂取が必要です。オメガ3脂肪酸は、細胞膜の形成、LDLコレステロールや中性脂肪の低減、ホルモンの産生に重要な役割を果たし、特に胎児の脳と網膜の正常な発育においても不可欠です。
オメガ3脂肪酸のALA(アルファリノレン酸)は、体の中でDHAとEPAに変換される必須脂肪酸で、フラックスシード、亜麻仁油、胡桃、大豆、チアシード、ヘンプシードなどに含まれます。これらを意識して摂ることを心掛ければ、適切な量のDHAとEPAを作るのに十分なALAを摂ることが可能です。
またオメガ3脂肪酸は同じ必須脂肪酸のオメガ6脂肪酸(リノール酸)と適切な比率で摂取することが重要です。加工食品に偏りがちな人や動物性食品を食べる人は、オメガ6脂肪酸過多となるので注意してください。オメガ6脂肪酸過多になると炎症が促進されたり、免疫反応が過剰になったりして、花粉症などアレルギーの原因となります。PBWF(プラントベースホールフード)の食事をしていれば、脂肪酸に限らず多くの栄養素を良いバランスで摂取することができます。お子さんが前述の食品を十分に摂取できていない場合と、妊娠中、授乳中の人はサプリメントの使用を検討します。サプリメントは魚由来の製品ではなく、「藻」を原料とした植物性のサプリメントを選ぶようにします。オメガ3脂肪酸が魚の油に含まれるため、魚由来の製品が多く出回っています。魚が藻を食べるため魚油からDHA―EPAが抽出されるのですが、魚由来の製品からは魚に濃縮されている汚染物質や毒物を一緒に摂取するリスクがあります。間の魚を飛ばして藻由来のサプリメントをCHOICEしてください。