毎日、6時間から8時間ほどは眠っているのに朝起きたときに疲れが残っている感覚があり、しっかり眠れていないように思います。質のよい睡眠をとるにはどうすればよいのでしょうか。(福岡市・なんだかスッキリしない主婦)
A.朝陽を浴び、運動とバランスのよい食事を
答える人 プレマ株式会社 お客様コンサルティングセクション 岸江 治次
人間は人生の3分の1を眠っているといわれるように、人間と睡眠は切っても切れないものです。よく「全然眠れない」という方がいますが、人間は眠らないと活動できないため、自然に生活していれば自然に眠れるようにできています。ゆえに本来は睡眠を強く意識する必要はありません。ただし、昔は朝陽が昇ったら働き、暗くなったら眠るというのが普通で、暗くて静かな環境で自然に眠れましたが、現在は環境やライフスタイルが変わってきているので、気をつけるべきことがあります。
睡眠時にはレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しており、この周期は90分です。レム(REM=rapid eye movements=急速眼球運動)睡眠は昼間得た情報を整理するために脳は動いており、ノンレム睡眠は脳も身体も休んでいる状態。日本人は平均で6~8時間眠っていますが、たくさん眠ればいいわけではなく、最低90分、難しければ倍の3時間、あるいは眠りにつくまでや起きるまでのタイムラグを考慮して最低4時間眠ればいいといわれています。なかでもゴールデンタイムといわれる22時から2時に4時間眠るのが体にとって一番有効。寝足りないときは最大で30分まで昼寝をするとよいです。
よく眠るための基本的なポイントとしては、体温と食事を意識すること。眠るときは体温が下がります。お風呂に入ると体温が上がるので、そこから徐々に体温が下がってくるという状態をつくると自然に眠気が起こります。また、睡眠時におなかの中に食べ物があると、吸収や消化で内臓が休まらないので、眠る2時間前にはなにも食べないほうがよいです。さらに、なにを食べるかも重要で、肉を食べすぎると夜、目が冴えてしまいます。子どもは顕著で、道徳の問題ではなく生理的に、虎やライオンや猛禽類などの肉食動物と同じ夜行性になってしまうため、肉はほどほどにして食物繊維豊富な野菜を与えましょう。特に小さい子どもは毎日が新しい発見の連続で、莫大なデータをきちんと整理する必要があり、なおかつ元気でよく動くため身体全体の細胞も激しく新陳代謝します。寝る子は育つというように、夜にしっかりと眠ることが大事です。
ここまでは基本の話ですが、現代の忙しい日々のなかで睡眠の質をあげるためにいくつかポイントがあります。まず、朝起きたとき、散歩などで全身に陽の光を浴びること、ストレッチやヨガなどで身体を動かすこと、腹式呼吸や食事でおなかを動かすことを意識しましょう。眠る話に朝は関係ないと思いがちですが、朝、陽の光を浴びることで眠るスイッチが入り、さらに運動や内臓を動かすことで睡眠の質が変わります。
夜眠る前は、不安になったり逆に楽しすぎたりすると睡眠を誘導するメラトニンを阻害する物質が出てしまうので穏やかに過ごしましょう。また、現代は夜でも明るくうるさいのでアイマスクや耳栓などで自然に眠れる環境をつくってください。眠る直前までスマホやパソコンを見ていると、ブルーライトの影響で意識しなくても身体が視覚的にブルーを摂り入れてしまいます。青空や紺碧の海を見てしまうと眠る気にはなれませんから、眠る1時間前くらいにはやめましょう。
このあたりを意識して規則正しい生活をし、自分に合ったリズムをつくるようにすれば、質のよい睡眠をとれると思います。