日本では「りんごが赤く成れば、医者が青くなる」、ヨーロッパでは「毎日1個のりんごが医者を遠ざける」といわれ、りんごは世界的に昔から健康を作る役割を担ってきました。古くは聖書の中にもりんごの木が出てくるほどヒトにはなじみのある果物で、健康にとっても役立つことが長い歴史の中で実証されています。
マクロビオティックでも、りんごは果物のなかで陽性に位置づけられており、うまく摂り入れることで、病気にならない体づくりに有効です。これから夏を迎えるにあたり、暑さをしのぎ快適に過ごす方法として、流行りのりんご酢をどう取り入れるか考えたいと思います。
仏国育ちの自然栽培有機りんご酢
今回は、りんご酢のなかで最上といえるフランスのコトーナンテ社のアップルサイダービネガーをご紹介します。アップルサイダービネガーとはりんご酢。サイダーと聞くと甘くて発泡したものを想像しがちですが、もともと炭酸入りのりんごジュースやりんご酒のことをいいます。よいお酢の簡単な見分け方は瓶を振ること。すぐ発泡して、細かな泡がしばらく残っていることです。コトーナンテ社のりんご酢は、贅沢にも自然栽培の30種類以上のりんごを使って発酵させた本物のお酢なので、振って確認すればすぐにわかります。
コトーナンテ社は1943年創業。化学薬品の問題に心を痛め、1970年から有機果樹園を始めます。オーガニックの老舗で、さらに1995年からはシュタイナーのバイオダイナミック農法に転換し自然と関わりの深い農法へと進化します。特徴は素材がはっきりした自社農園の自然栽培りんごを使い、これだけでうまみを作っていること。おまけに無濾過、非加熱なので酵母が生きているうえに、栄養が生かされているのです。生産から加工まで一貫して作られたりんご酢は複雑な原料の味が総合的に崇高な味のバランスを生み出し、酸味といっても上品でまろやかな仕上がりになっています。
このりんご酢を使うと、陰性を生かし、酸味を整えながら快適な食生活が可能となります。マクロビオティックでは、人間は陽性だから、植物性の陰性を食することが健康のバランスを保つ基本要件。陰性の植物に火・塩・時間という陽性を加味することで、人類は文明を進化させてきました。しかし、欧米風の食生活が普通になった日本では、どうしても肉や卵、魚など、いわゆる極端な陽性を摂りすぎています。極端な陽性を摂ると、極端な陰性を求めてしまうのが人間の生理的機能の原則。ほどよい陰性の摂りかたは、極端な陽性に傾かないようにバランスをとることです。とくにこれから暑くなる季節には、体の中を冷やすものが体調を整えるコツです。外からクーラーで冷やさなくても涼しくいられるにはほどよく自分の体質に合った陰性の食べ物をとることがキーポイントです。
もちろん旬のキュウリやトマトを摂り入れることは有効ですが、肉や魚や、卵を普段から摂りすぎているならバランスをとる必要があります。そんなときに、りんご酢のやわらかな優しい酸味は塩や脂肪の排毒とともに体をすっきりさせてくれます。
健康は自分で作るもの。食べ物で体ができている以上、自分にとって何を選ぶか、最上の自然を選ぶことが大切です。このようなお酢が健康バランスをとるのに重要な役割を果たす時代になってきたのではないでしょうか。りんご酢は夏は多めに、冬は酸味で味を調える程度にとることが四季折々の変化に柔軟に生き抜く秘訣です。