さて。自宅出産から軌道修正し、病院で産むことになりました。
ここ2、3号の展開を、もし産科関係者が読まれていたら、かなり不快な思いをされているかと思います。44歳妊婦、低出生体重児、あろうことか無介助分娩希望(自宅出産で括ってしまってますけど)。倫理的に許せない方もいらっしゃるかもしれません。
わたしの赤ちゃんはみな、低出生体重児なので、いつも臨月にはNICU(新生児集中治療室)への入院をにおわされます。出生後は小さいだけで元気なので、｢異常｣扱いは終わるのですが、あと少しでお産というころに、赤ちゃんと引き離される話題が多いのが、わたしにはストレス。小さくても元気な子がそこまで珍しいなら、生まれるまえにだけ騒ぐのではなくて、産後に妊娠中まで遡って元気の理由を調査したほうが有意義なのでは、と、ずっと思っていました。妊娠中のお手当てが、いろいろ奏功してるとわたしは思ってますし……。
が、｢予防｣でなく｢治療｣に重きを置く西洋医学は、病気ではない｢妊娠｣に対しても｢治療｣的に捉えます。だから妊産婦や赤ちゃんのQOLが犠牲になるのが問題だとわたしは考えていて、ここから先の記述には、明確な批判が入ってくると思います。が、今回のお産では、｢万一｣が起こっている｢重い｣現場も目の当たりにしていますし(この連載で後述します)、そこからつくられていくシステムのあり方にも理があるのだということは、実感しています。
とはいえ｢万一｣を普遍化したお産を大量生産することには弊害があり、それを避けたいと思う女性も一定数います。そういう人が不本意な陣痛誘発を目前にした場合、どうなるか。対応は二手にわかれ、一方はまな板の上の鯉となることを受け入れ、自分の気の持ちようを工夫しようとします。他方がわたしのようなタイプ。陣痛を自然につけることにトライします。
助産院の階段を膝で何度も上り下りして、陣痛をつけた知人がいます。でもわたしの場合は、ほんとに胎盤に何か異常があるとしたら、あまり無理しちゃいかんですよね。積極的に腰を振るぐらいにとどめ、あとは疲れないアプロｰチにしました。自宅出産の人は、陣痛促進にはセックスも使えるそうです。精子の成分が、促進してくれるんですって。人体よくできてますよね～。
一晩娘を看病して、土曜日の朝。お手当て用品を整えておけば、あとは委ねられるくらい回復しています。わたしはイトオテルミｰでの促進を受けた足で、病院に向かいました。予定では、日曜日の夕方にはメトロイリンテル(水風船)を入れられ、それでだめなら月曜朝には陣痛促進剤で誘発です。子どものいのちが危ないといいながら、金曜夜を逃すと月曜まで延びるというあたり、さすが病院、微妙にいのちが優先されていません。定期的にNST(ノンストレステスト)はされますけどね。
NSTやわたしの検温など以外は自然な陣痛促進に励みました。融通がきく施設なら、鍼灸やテルミｰもできたはずですが、案の定火器厳禁。貼るカイロを内ももにずらりと貼り、その上からとにかくもみます。仙骨や腰のあたりにもカイロを貼り、汗ばむくらい温めました。また、足の小指の爪の外側にあるツボ、至陰をカイロを当てた上から小児鍼の道具で刺激。三陰交も同様です。道具は傷がつかない先の細いものならなんでもいいと思います。テルミｰの先生のオリジナル技で、百会も刺激。ホメオパシｰのレメディもとり、子宮に刺激が伝わる乳首のマッサｰジを積極的に。乳首マッサｰジは早産傾向の人には勧められませんが、母乳育児に役立つので、ご存知ない妊婦さんは調べてくださいね。
病院は湯たんぽを温めてくれる、と聞いていたのですが、わたしの入った大病院では、低温火傷を気にしてか冷めてるし、迷惑そうでした。だからその後も自分の冷えとりにカイロはずいぶん重宝しました。一般に病院は冷えに無頓着なので、安産活動や産後の養生のため、お産入院にカイロたくさんもっていくのはいいのではと思います! 当然おなかの子にも協力をあおぎました。どうせ明後日になったら無理やり出されるんだから、いま頑張っとこうよ。……ぐるんと大きく動き、おりてくるのがわかります。……次回に続きます。
望月 索(もちづき・さく)
これがあれば、火気厳禁でも“温灸”できたのに！
