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インタビュー取材しました。

【Vol.94】仏画で観じる、心の対話 第5回 守り本尊を描く

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去る4月11日、プレマ東京支社(六本木)にて仏画師・安井妙洋さんの第五回仏画セミナーが開催されました。今回のテーマは十二支の守り本尊。自分自身や大切な人の守り本尊を一体選んで描いていきます

宿曜経(すく よう きょう)をもとにしたもの


今回は「守り本尊」を描きます。守り本尊とは、十二支それぞれを守ってくれる神様のことで、八尊のうちから一つ、自分や家族など大切な方の干支から選んで描きます。それぞれの守り本尊は、
・子 → 千手観音
・丑寅 → 虚空蔵菩薩
・卯 → 文殊菩薩
・辰巳 → 普賢菩薩
・午 → 勢至菩薩
・未申 → 大日如来
・酉 → 不動明王 />
・戊亥 → 阿弥陀如来
となります
かつて千葉ではじめて教室を開いたとき、80代の男性の生徒さんで、守本尊をとても気に入って描いていらっしゃる方がいました。八尊を事前に描いて持って歩き、デパートやバス停などで出会った人に干支を聞き、その方の守り本尊をわたし、配り終えたら家に戻るということでした。「八尊を配ることによって回向を目指すのだ」とおっしゃっていました。 そもそも守り本尊とは、空海が唐から持ち帰った「宿曜経」に基づいて描かれたものです。宿曜とは天文暦学のことですが、宿曜経とは星の運行を人の運命と関連づけて考える経典です。もともとは道教の世界から生まれたものですが、これに関連した「星祭り」も日本全国で行われていて、京都の鞍馬寺がよく知られています。

浄土へ導く大乗仏教の流れ
仏教とはおもしろいもので、仏陀が仏教をつくったことははっきりしていますが、それが中国を通り、日本に来るまでの1000年という長い歳月の間に、さまざまに変化していきました。その中で大乗仏教というものが生まれ……空海の広めた密教や浄土宗、浄土真宗も含まれますが、多くの人に対し、死への恐れをなくすのが宗教のひとつの目的としています。簡単に言えば、「死んだらみんな浄土へ行けるから怖くないのだ」というのを示したわけです。ある意味、大きな船に乗っていくしかないという他力本願のような考え方でもあります。その基本には「カルマ」の考え方も。たとえばこんな話があります。 ある女性の息子が蛇にかまれて亡くりました。それを嘆き悲しんでいるところに漁師がやってきて「憎き蛇を殺してあげようか」と言ったそうです。するとその婦人は「蛇を殺したところで息子は帰らない」と言い、蛇は「私も好きで殺したわけではなく、息子が死んだのは私のせいではない」と言ったと。そこに死神も出てきて、これも「私のせいではない」と言ったといいます。では誰のせいで息子は死んだのかというと、それは、その息子のもつカルマのせいなのだということです。すべての出来事は、カルマによって引き起こされるものであるといっているのです。 人は、さからいようもない大きなものに流されていく。仏教だけではなくヒンズー教にもこのような考え方があって、それは生まれた境遇によって、一生が決まってしまう「カースト制度」などにも現れています。私もかつて「日本に生まれたこと、自分の生まれた境遇に感謝しなさい」と言われたことがありますが、確かに教育もきちんと受けられるし、こんなに恵まれた国はないとも思います。

仏画を描くときのポイント

下絵に和紙を乗せ、写していきます。あわてずに丁寧に、筆の線を大事に描くのがポイント。

さて、守り本尊を描いていくときのポイントについて少しお伝えしましょう。描くときは筆の線がとても重要ですが、基本的には「鉄線描」という一定の太さの線で描きます。温雅円満という言葉もありますが、この言葉のとおり、あたたかくやわらかく、まるく描いていきます。「量」と書いて「かたまり」と読みますが、仏画全体をひとつの量ととらえて全体がつながっていくようなイメージで描きます。この意識がとても大切です。 仏画では「眼」もとても大事な部分ですが、それよりも大事なのが「指」です。指の先から、仏様の慈しみが出てくるように描きます。むずかしいところですが、人間と同じような指ではだめなんですね。 「巻き爪」もありますが、指先に向かってぐっと持ち上げるように描きます。息を吐きながら線を丁寧に引っ張るようにして描きます。線を無意識にさーっと引いてしまうと、品のない絵になってしまうので注意しましょう。 墨は最初にたっぷりと付けます。墨をつけ過ぎたなら、線の幅が多少太くてもいい部分から描き、細かいところは少し墨が落ちてから描くといいですね。線がかすれるのは、よくありません。そして、筆は必ず立ててください。あわてて一気に描こうとせず、仏様をよく見てイメージをふくらませて描くことが大切です。


「指はもっとも重要な 部分です(写真右上)。眼の玉は少し楕円気味に描いたほうがきれいにいきます。上まぶたは下まぶたよりも気持ち太めに。鼻はふくらみの部分から描きます。口は、絵によっても違いますが、真ん中の山の部分を最初に描き、そのあとはどこから描いてもいいです(写真右下)」(安井先生)

文:らくなちゅらる通信編集部

講師:安井 妙洋(やすい みょうよう)
仏画師。1984 年より真鍋俊照氏に仏画の基礎・理論を学ぶ。東北大震災後は東北の人々に仏画を描く援助を始める。
仏画教室での活動とともに、北インド・ラダック地域の支援活動も精力的に行っている。

- 特集 - 2015年7月発刊 Vol.94

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