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法の舞台/舞台の法

日常のなかにある法律問題踊る弁護士の活動報告

弁護士/舞踏家

和田 浩 (わだ ひろし)

1977 年新潟県柏崎市生まれ。京都大学総合人間学部卒業。弁護士として、さまざまな分野の事件に取り組んでいる。なかでも、障害者の権利に関する案件に多く携わっている。他方、舞踏家として舞台活動もおこなっている。福祉、芸術、司法の連携について、あれこれ考えている。
縁(えにし)法律事務所 
京都市中京区新椹木町通二条上る角倉町215
075-746-5482

男女交際禁止校則

投稿日:

先々月と先月のコラムで、それぞれ公立中学校、公立高校の校則に関する裁判例をご紹介しました。今月は、私立高校の校則に関する東京地方裁判所令和4年11月30日判決をご紹介します。

事案の概要と争点

この裁判では、ある私立高校(以下、「X高校」とします)における、男女交際を禁止する旨の校則(以下、「本件校則」とします)の有効性が問題となりました。具体的には、X高校の生徒であった原告が、本件校則に反して男女交際をしたため、X高校の学校長から自主退学勧告を受け、X高校を退学しました。そこで、原告は、本件校則が無効であることなどを主張し、X高校を設置する被告に対して、損害賠償請求をしました。この訴訟では、本件校則の有効性のほか、学校長による自主退学勧告の違法性なども争点となりましたが、ここでは、本件校則の有効性の点についてのみ、ご紹介したいと思います。

原告の主張

原告は、男女交際を一律に禁止する本件校則は、社会通念に照らして不合理であるから、公序良俗に反して無効であると主張しました。

具体的には、男女交際は個人の自己決定権そのものであり、男女交際の自由は幸福追求権の一内容をなすものである一方、本件校則はこれらの権利を制約するものであることなどを指摘し、本件校則は生徒の基本的人権を制約するものであると主張しました。

裁判所の判断

裁判所は、まず、X高校は、「その設置目的を達成するために必要な事項を校則等により一方的に制定し、これによって在学する生徒を規律する包括的権能を有する」としました。そして、「私立学校は、建学の精神に基づく独自の伝統ないし校風と教育方針によって教育活動を行うことを目的とし、生徒もそのような教育を受けることを希望して当該学校に入学するものと考えられる」として、私立学校における校則による生徒の規制を広く認めたうえで、「具体的に生徒のいかなる行動についてどの程度、方法の規制を加えることが適切であるとするか」は、「各学校の伝統ないし校風と教育方針等によっておのずから異なる」としました。

そして、X高校が、教育方針として、特に生徒指導に力を入れていることなどをうたっており、事前に入学希望者や保護者に対して、男女交際禁止を含めた教育方針の説明をしていることから、X高校の生徒は、この制約を受け入れてX高校に入学したといえるとしました。

また、本件校則は、「生徒が男女交際により傷付くという事態を避けるとともに、男女交際が他の生徒に悪影響を与えることを防止することにより、生徒を学業等に専念させることを目的」としており、「心身の発達途上の段階にある高校生にとって、男女交際が生活習慣の乱れ等の要因になり得ること自体は否定できず」、本件校則は、X高校の教育方針などに鑑みれば、「社会通念に照らして合理的なものである」として、本件校則は有効であると結論付けました。

判決に対する疑問

裁判所は、X高校が事前に教育方針や校則の説明をしていたことから、生徒はこれを受け入れて入学したものとしましたが、これはフィクションに過ぎないように思われます。

また、男女交際をすることは、本来個人の自由であり、かつ、個人の尊厳と不可分の営みともいえるでしょう。裁判所の判断においては、この点についてより慎重な配慮が必要であったのではないかと思います。

- 法の舞台/舞台の法 - 2023年11月発刊 vol.194

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