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インタビュー取材しました。

呼吸が変われば 全身が変わる
ナリタデンタルクリニック副院長 歯科医師 成田 みどり 氏 インタビュー

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クリニックでの治療のほか、呼吸の講座などもおこなう成田先生。プレマルシェ・スタジオ中目黒でも講座を開催している。次回は子育て中の方に向けた講座を予定

普段、意識することなくおこなっている呼吸。しかし実は多くの人が、本来の鼻呼吸ではなくて口呼吸になっていて、それが全身に悪い影響を及ぼしているといいます。口呼吸はなぜ悪いのか、呼吸を改善するためにはどうすれば良いのか、呼吸を重視した治療をおこない、呼吸や子どものデンタルケアに関する講座も開催している、ナリタデンタルクリニック副院長で歯科医師の成田みどり氏に伺いました。

ナリタデンタルクリニック副院長 歯科医師
息育指導士・みらいクリニック認定不っとコーディネーター
NPO法人日本病巣疾患研究会会員
成田 みどり(なりた みどり)

鹿児島大学歯科部卒。「口から全身を診る・全身から口を診る」をコンセプトに、東洋医学に精進している院長(夫)や医師の先生と連帯し、心も身体も元気になるクリニックを目指している。ナリタデンタルクリニック 完全予約制 日・月・祝日休診 03-3304-8700
ホームページ http://www.narita-dc.com/

娘の歯科矯正をきっかけに呼吸の大切さを見直す

――成田先生が「呼吸」に注目されたきっかけはなんだったのでしょうか?

成田 口呼吸が悪くて鼻呼吸が大事という話は歯科大学で習うので、歯科医は皆知っていることではあります。ただ当時は、知識としては知っていても、口呼吸がそこまで体に悪い影響があるということはあまり意識していませんでした。今のように呼吸を意識するようになったきっかけは、4年ほど前、長女の歯科矯正を自分でやろうと思って勉強をするなかで、「あいうべ体操」という口の体操に出会い、改めて呼吸の大切さを学んだことです。それまで歯科医としていろいろな患者さんを治療していたなかで、原因が呼吸だったんだと思い当たることがあり、ストンと腑に落ちました。

呼吸って日常生活のなかではなかなか意識しないものですよね。鼻で呼吸をするという、すぐできる簡単なことなのに、なかなか広まらない。でも、食べ物だけでなく、ウイルスや細菌など、いろいろなものが最初に体に入るのが口です。だから最初に口に反応が出るんです。そしてその影響が全身に回る。呼吸を改善すると腸内環境が改善するという話もあります。逆に良いものを摂取しても、体の状態が悪いとうまく吸収されなかったりします。

――そもそも成田先生が歯科医を目指したきっかけはなんだったんですか?

成田 子どものころ、両親と祖父母が通っていた歯医者さんのことが大好きだったことです。その先生は、歯科医になった後に事故で右手を失った方で、左手一本で治療をしていたんです。当時の歯の治療って、今みたいに倒れる椅子ではなくて、患者さんは座ったままで、歯科医が立って治療をするというスタイルでした。歯科医になってから、あの先生はすごいことをしていたんだなあとわかりました。当時はそういうことはわかっていなかったのですが、その先生が本当に優しくて、楽しそうに仕事をしていて、患者さんへの関わり方がすごく好きで、この人みたいになりたいと思ったんです。実は歯科医がどういう仕事なのかというのはあまりわかっていなくて、歯医者さんになればあんなふうになれるのかなと思っていました。その先生が料理人だったら料理人になっていたかもしれません。

そんな感じで歯科大学に入ったので、予想外だったこともありましたが、その先生のためにも頑張ろうと思いました。今、歯科医になって良かったなと思っています。歯科医というのは、赤ちゃんからお年寄りまで関わることができて、みんなを元気にすることができる仕事だと思います。

――成田先生は今、ご主人と一緒にクリニックをされているんですよね。

成田 歯科大学を卒業後、10年ほど歯科医として働いていたのですが、結婚・出産後は、知識はアップデートしつつも患者さんと関わることはありませんでした。3~4年前から少しずつ復帰し始めて、2年ほど前にナリタデンタルクリニックの院長である夫が10日間ほど入院することがあり、そのときから私もクリニックで診療をするようになりました。夫は歯科東洋医学会の専門医で、一般的な歯科治療に加え、東洋医学も取り入れています。たとえば、恐怖心が強い人にお灸でリラックスしてもらったり、必要に応じて漢方薬を処方したりしています。

口呼吸の影響と呼吸の改善法

――クリニックの治療のなかで呼吸に関する指導などもされるのですか?

成田 同じ症状を繰り返すといった、呼吸に問題がありそうな人には、積極的に呼吸の大切さをお伝えしています。ただ、口呼吸の自覚がない人は多いです。口呼吸の人によくある特徴のひとつが、「私は口呼吸じゃない」と思っていることかもしれません。

――呼吸に問題があるかどうかは、どうやったらわかるのでしょうか?

成田 呼吸の講座で試してもらうのが、手を使わずに口だけで風船を膨らませられるかということです。それができたら、鼻だけで風船を膨らませられるかを試します。両方ができる人は、鼻呼吸ができていますが、できない人はすでに「フレイル」が始まっています。フレイルとは、要介護一歩手前の状態のこと。口の衰え(オーラルフレイル)は身体の衰えを示すサインの一つなんです。

ほかのチェックポイントとしては、ラーメンがすすれるか、口笛が吹けるか、ウインクができるか、小鼻をひくひくできるかなどがあります。これらの動きには、鼻の機能や舌の動き、表情筋の動きなどが関わっています。口呼吸の場合、そういった機能や筋肉の動きが衰えてしまうんです。

口呼吸か鼻呼吸かというのは、顔立ちからもわかります。口呼吸の人は顔の筋肉が緩むため、まぶたのたるみや左右の目の大きさの違い、あごのシワなどの特徴が出やすく、老けて見えがちです。逆に鼻呼吸の人はすっきりとした顔立ちです。鼻呼吸は美容の点でも良い影響があるといえます。口呼吸の人が鼻呼吸に変えるだけでも、顔立ちが変わります。

――見た目でもわかるんですね……。呼吸に問題があると、顔立ち以外にどのような影響があるのでしょうか?

成田 特にこの季節、口呼吸の影響のひとつが、風邪や感染症にかかりやすいことです。鼻呼吸では、鼻毛や線毛、粘液などがフィルターの役目を果たしてくれます。また、鼻の中の温かく湿った空気により、ウイルスの活動を抑えることができます。口呼吸では、唾液などのバリア機能はありますが、鼻ほどではありません。その上、口呼吸をすると口の中が乾燥し、唾液が少なくなります。高機能なマスクをするよりも、鼻呼吸をするほうがウイルスを防ぐ効果があると思います。

また、風邪・感染症予防としてうがい・手洗いがよくいわれますが、手洗いは効果があるものの、実はうがいはそれほど効果がありません。口の中にはウイルスを増殖させる酵素をもつ細菌もいて、それらを減らすためにうがいをしたとしても、インフルエンザウイルスは早ければ20分程度で感染するので、帰宅時にうがいをするくらいではほとんど効果がありません。それより口を閉じて鼻呼吸するほうが効果的です。風邪をひきやすい人、のどが弱いというような人は、呼吸を改善することで風邪をひきにくくなるかもしれません。実際、私の娘もそうでした。

成田先生が副院長を務めるナリタデンタルクリニックでは、呼吸の大切さを伝えるとともに、一般的な治療に東洋医学も取り入れている

――マスクやうがいよりも鼻呼吸のほうが効果的というのは意外です。

成田 人は一日約2万回呼吸をして、約20キログラムの空気を吸っています。それだけ呼吸の影響は大きく、全身に影響します。口呼吸が、アレルギーや、抑うつ、疲労感につながることもあります。

そもそも、口は食事をするためのもので、鼻が呼吸をするためのものです。本来食事をするための口で呼吸をすることで、体に不調が起きます。たとえば花粉症は、鼻呼吸していれば鼻のフィルターを通るので花粉は体内に入りにくいのですが、口呼吸だと花粉が直接気管に入るのでそれがアレルゲンとなってしまいます。また、寒いときに手に息を吹きかけることがありますが、口から息を吐くのは、それだけ熱を外に放出してしまっているということです。

そう考えると、口呼吸は体への負担が大きいといえます。逆に鼻呼吸は体に優しい呼吸といえます。

虫歯や歯周病を繰り返す人や、いつも同じ場所が腫れる人、また歯並びにも呼吸が影響しています。これには、口呼吸による口の乾燥・唾液の減少や舌の位置などが関係しています。舌はその先端が上あごにつくのが本来の位置なのですが、口呼吸の人は舌の先が歯の裏側についていたり、どこにもついていなかったりします。これは舌が下がった状態です。舌の位置が悪いと、歯ぎしりにもつながりますし、歯並びにも悪影響です。

不安になりがちな歯の治療を安心して受けてもらえるよう、院長(写真中央)、副院長(写真左)、スタッフ(写真右)みんなで笑顔を絶やさず、丁寧に治療にあたっている

――成田先生は、離乳食の講座など、子育て中のお母さん向けの講座もされていますが、そこではどういったことを伝えられているんですか。

成田 自分の反省もこめて、自分がやれなかったことと、やって良かったことをお伝えしています。たとえば、うちの子どもは3歳まで甘いものを食べさせませんでした。そして3歳の誕生日にはじめてケーキを食べさせたところ、一言もしゃべらずにもくもくと食べていましたね。「こんなおいしいものを今までどこに隠してたの?」という反応でした。そこまで甘いものを食べさせなかったことで虫歯もできませんでしたし、やってよかったなと思うことのひとつです。大変なようですが、そもそも甘いものを食べたことがなければ、意外とほしがらないんです。

歯科医として小さい子どもの治療もするなかで、甘いものの量と虫歯がリンクしていることがわかってきました。私自身、3歳まで甘いものゼロで育って、虫歯ができなかったんです。最近は虫歯予防に対する親の意識も高くなっていて、虫歯がない子どもが多いのですが、正しい食生活を身につけないまま大きくなってしまうと、大人になってから甘いものをセーブできずに虫歯を作ってしまうんです。だから、子どもの虫歯は減っているのですが、20~30代の虫歯が増えているように思います。

甘いものも適度に食べる分には構わないのですが、それが健康を害するほどになるのは問題です。夫は私と逆で、子どものころから甘いものを好きなだけ食べて育っていました。だから虫歯もたくさんできたらしいんですが、その分、歯の悪い人の気持ちがわかるんですね。そして歯科医になって新しく虫歯はできていません。これまで甘いものをたくさん食べて、虫歯や歯周病になったとしても、食生活や生活習慣を変えることで改善することはできるんです。ゼロにする必要はないけれど、うまく付き合うことが大切です。

――最後に、これからまだ寒さの続く季節ですが、呼吸について特に気をつけることはありますか?

成田 繰り返しになりますが、口呼吸を止めて鼻呼吸にすることで、風邪や感染症にかかりにくくなります。この季節はインフルエンザ予防に効果的ですね。また、花粉症の季節に向けて、今のうちから鼻呼吸を習慣化することで、アレルギー症状を抑えられる可能性があります。劇的に変わることはありませんが、穏やかに変化を感じられるはずです。

今回の記事をきっかけに、呼吸の大切さに気づいていただき、どこか調子が悪いところがあるのなら、それを振り返っていただければ良いなと思っています。

◎成田先生の次回講座はマクロヘルス協会のブログでご確認ください。
https://macro-health.org

- 特集 - 2020年1月発刊 vol.148

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