こくとうみつ、さとうきびジュース、黒糖チャレンジ
オルタナティブファーム宮古 代表の松本さんにこれまでの経緯や今後についてお話を伺いました。
14年の自動車メーカー研究職を離れ、2012年5月に家族4人で宮古島に移住。約1万平米の畑で主に有機サトウキビを栽培し、黒糖蜜やキビ砂糖などの加工品を製造。畑で黒糖作りが体験できるプログラムも準備中。その他、有機バナナの栽培、未完熟マンゴーの発酵飲料の製造に携わる。
宮古島に来て5年目に入りました。僕は京都出身で、妻は埼玉出身。南の島で暮らすのは初めてです。長年研究職をしてきましたので、農業も事業もゼロからのスタートでした。
当初、プレマに入社するときにはバイヤーとなる予定だったのですが、宮古島で農業生産法人を作ろうということになり、代表となることに。実は、農業は未経験で、小学校時代の夏休みの宿題で植物を育てた程度。内地で短期の農業研修に参加し、その後、宮古島で畑の土を作るところから、一から試行錯誤しながらやってきました。
サトウキビはもちろん、最初は、葉物野菜、トマト、カボチャ、島ニンジンなど試みましたが撤退しました。サトウキビは二年目から手応えを感じました。
畑作業後の海は気持ちいい!
日々の畑作業は、大変といえばもちろん大変なのですが、体を動かし汗を流すことはやっぱり気持ちいいです。畑の後の海とワンセットで気持ちがいい(笑)。サトウキビ越しに見る空もきれいだし、作業の後に飲む水が本当にうまい!
基本は、今、一人ですが、誰かが農業体験に来てくれて一緒に動いてるときは、もっと気持ちがいいです。でも、気持ちがいいというのは、本来、やはり最後の売り上げのところまで繋がって気持ちがいいものとなるはずで、課題はまだ山積しています。
商品を開発するのは楽しいですね。問題は、その後。まず、量産するというハードルがひとつ。そこからマーケットイン※という次のハードルがあります。
現在、さまざまな商品を開発中です。『さとうきびジュース』は、サトウキビを搾っただけの状態のものですが、これが本当に旨いということを知ってもらいたくて。商品開発の難しさを少しだけお話しすると、サトウキビは発酵が早く、実は、開発の段階で何回か失敗しています。翌日には発酵して、ガスがどんどん溜まってパンパンになってきたと思ったら、いくつか破裂してしまって。洗浄の仕方、加熱殺菌の強度、間欠殺菌を入れて芽胞菌をやっつけること、pHを下げるためにクエン酸やシークワーサーを添加するなどの対策をして問題解決できました。量産のためのちょっとした技術ですね。
「体験」できる楽しさを観光客の方にも味わってもらいたい
今のオルタナティブファーム宮古は、僕が思うには、三軸です。一つは、有機サトウキビ栽培。そこからオンリーワンのいろいろな商品群や加工商品群があること。そして、黒糖づくりの「体験プログラム」の受け入れ。この三つの軸を全部持つことによって、会社としての価値を底上げしていきたいと考えています。
また、こういった事業を、子どもたちに紹介することも楽しみのひとつです。今後、伝えていきたい相手は、感受性の高い小学校から大学生ぐらいまでの子どもと、子育て世代の親です。手始めに、地元の中学生や高校生などを受け入れています。まずは、宮古島で認知をいただき、宮古島が好きな東京や大阪など内地の人にも興味を持たれる。僕の方から内地に提案するのではなく、観光で宮古島に来た人が、内地に持ち帰って広めてくれるという流れが一番自然ではないかと。この夏に、観光客の受け入れをスタートするので楽しみにしています。(取材:平成28年6月)