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鍼療室からの伝言

鍼灸師の西下先生による陰陽や自然食。二十四節気など古来の智恵のお話

圭鍼灸院 院長 鍼灸師
マクロビオティック・カウンセラー

西下 圭一 (にしした けいいち)

新生児から高齢者まで、整形外科から内科まで。年齢や症状を問わないオールラウンドな治療スタイルは「駆け込み寺」と称され医療関係者やセラピストも多数来院。自身も生涯現役を目指すアスリートで動作解析・運動指導に定評がありプロ選手やトップアスリートに支持されている。

未経験の春

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「経験がないから、先生にはわからないでしょう」。相談されて一緒に考えていたはずなのに、患者さんから言われて驚いたことがあります。似たような経験は、だれにでもあるかもしれません。

「わからないでしょう」と言われれば、「わからない」としか答えようはありません。でも、「同じ経験はなくても、ともに考えることはできる」と返すようにしています。そうでなければ、病気をした経験がないと治療する側の仕事はできないことになってしまいます。

まったく同じ経験が自分にないからこそ、先入観を持たずに相手の話を聞くことができる面もあるでしょう。

経験の本質

春といえば、別れと出会いの季節です。新しい場所、新しい出会いだからこそ、先入観なく経験を重ねていける始まりです。思い込みや先入観がないおかげで、未来の可能性を拡げることができます。

今年の2月には、学生ランナーが初マラソンに挑戦し、マラソン学生最高記録、初マラソン日本最高記録を塗り替えることが続きました。もともと才能ある学生ランナーが、きつくつらい練習を積んできたところに、気候やコースなどの好条件が揃ったのでしょう。ただ、レース直後の「もうこれで(マラソンを走るのは)最後」、「できれば二度と走りたくない」という彼らの言葉から、いかに過酷であったかを窺い知ることができます。

一方で、「初マラソンだったからこそ」との見方があります。マラソンには、1回目の記録を2回目に超えることは珍しい「2回目の壁」があるといわれています。42㎞を走るうちの、30㎞を超えてからの苦しさを一度経験してしまうと、次回からは怖さを抱えてしまう。実際に、初マラソンで好記録を出したトップ選手が、2回目以降も自己記録を更新し続けるのは稀なのです。2回目には初回の再現性があるとは限らない。だから、「初回だから出せた記録」と見なされることがあります。経験がもたらす先入観が邪魔をするのです。

私たちにも、「2回目の壁」はありそうです。一度経験したら「もういい」と思ってしまったことはないでしょうか。初めてのときには、「どうなっているのか覗いてみたい」、「やってみたらどうなるのか」という好奇心が強かったのに、2回目からは躊躇してしまう経験はあるでしょう。中途半端に経験してしまったが故に、未来の可能性を狭めてしまうことだってあるかもしれません。経験がもたらす先入観の弊害ともいえるでしょう。

同じ場にいて、同じ経験をしたつもりでも、「わたし」と「あなた」では解釈が異なり、「ちがう経験」と認識していることもありそうです。経験の本質とは、人の数だけあるものかもしれません。

いまを感じる

今年の春は、みんなが揃って初めて経験します。二〇二五年の春を過ごす経験を先に済ませたという人は、だれ一人としていないのです。

禅の言葉に「出門天地春」とあります。門を出れば、天も地も春。部屋から一歩外に出ると、春の世界が広がっているということです。同じ春の日であってもその一日は生涯に一度だけしかありません。過去も未来もなく、いま。いま、このときを制限することなくオープンな心で過ごすことの大切さを知りましょう。

休みの日に晴れていれば、外に出てみましょう。自然を感じながら、のんびりと歩いてみる。一度きりの春の日を満喫する。そんな、いまだけ、私だけの経験をしてみたいですね。

- 鍼療室からの伝言 - 2025年4月発刊 vol.211

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