ピンク色の布ナプキン「月のやさしさ」のアルテミス代表 中野ようこさんにお話を伺いました。
心身の調和は「命」を大切にすること
布ナプキンを販売する前は、自己表現のワークショップをしていました。
伝えたいことは、心身の調和の大切さ。
それを伝えるツールのひとつとして、布ナプキンに着目しました。
活動のきっかけは結婚後、アメリカで暮らしたこと。
私が社会人になった37年前は、男女雇用機会均等法もなく、
女は良妻賢母を目指すものという認識が強かった。
夫はそういう人ではなかったものの、私自身が固定観念を取り払えなくて。
でも、アメリカでは聞かれるんです。
「あなたはどう思うの?」って。
自分の意見を言ってもいいんだ!と、驚きましたね。
産後、子どもがまだ小さいころって、女性は自分探しをしますよね。
動きたいけど動けないし。
当時、社会運動をしていましたが、環境問題を扱うのは難しく、
体力がないと戦えない時代で、体を壊しました。
それで、自分を大切にしながら社会のためにできること、
そして、もっと体にいいことを、と考えました。
アルテミスのコンセプトに「BODY&MIND&ECOLOGY」
と書いてるのは、そのためです。
それらをバランスすることは、命を大切にするということなのです。
7歳のときの入院生活で出会った姉弟がきっかけで環境問題を意識
環境問題に目を向けたきっかけは、九州に住んでいた7歳のころに遡ります。
腎臓を患い、子どもばかりの6人の病室に入院したのですが、
ある姉弟が検査入院しては帰って、また検査入院しにくるんです。
彼らの診察だけ大勢のお医者さんがやってくる。
見た目には、どこも悪そうに思えないのに、
二人は、まっすぐに歩くことができない。
不思議に思ったのですが、看護師さんの話から水俣病と知りました。
それがきっかけで高校時代、研究課題として水俣病を調べ、
「食べたもので人の一生が決まる」と知ったのです。
私は「社会」という枠組みで物事を見ますが、連鎖があるわけで、
本来「社会」は遠いところにあるものではありません。
一番影響を受けたのは『世界は恋人 世界はわたし』
(ジョアンナ・メイシー著 筑摩書房)という本。
「自分の痛みは、世界の痛みと何ら変わりないものである」という内容です。
俯瞰して捉えると、自分のカラダがダメになっていたら、
社会もダメになっているということだと言えるのです。
つまり、「あなたのため」は私のためで、「私のため」はあなたのためでもある。
「自分を大切にする」ことは、「社会を大切にする」ということに等しい。
すべてはつながっているんですよね。