ストレスが溜まっていると感じたとき、ついつい甘いものやアルコールに頼ってしまいます。ストレスにいい食べ物はあるのでしょうか?(毎日忙しくて疲れ気味の30代主婦)
答える人 プレマ株式会社 お客様コンサルティングセクション 岸江 治次
ストレスホルモンの生成を助ける食べ物を
私たちは日々、さまざまなストレスと向き合っています。「ストレス」という言葉は物理学で使われていた用語ですが、1936年に生理学者のハンス・セリエ博士が提唱したストレス学説によって医学的な文脈でも使われるようになりました。人間は外部からの刺激に対して体内でさまざまな反応を示し、これがストレスと定義されています。ストレス学説では、ストレスの原因となる刺激を大きく4つに分類しています。物理的、化学的、生物的、心理的ストレッサーです。これらの刺激が極端に働くと、脳はストレス反応を調整するストレスホルモンを分泌して自己を保護し、安定状態(ホメオスタシス)を保とうとします。この作用が適切に機能するとストレスがあっても対処できるようになります。しかし、一部の人々はストレスに特に敏感で、これらのストレッサーに強く反応してしまいます。日常生活で遭遇する物理的ストレッサーは、気温や気圧の変化、光や音の刺激など、化学的ストレッサーは、医薬品や化学物質、食品添加物など、生物的ストレッサーは、細菌やカビ、ウイルスなどが挙げられます。そして、最も影響力が大きいとされる心理的ストレッサーは、人間関係の問題や感情の動揺など精神的な側面に関わるものです。
今、ほぼすべての病気がストレスと関連しているともいわれますが、ストレスがすべて悪いわけではありません。人はある程度の刺激がなければ生きていくことができない生物で、適度なストレスは生活を豊かにし、私たちを成長させる糧にもなります。問題は過度なストレスをどう管理し、対処するかです。自律神経やホルモン、免疫系の作用は、残念ながら自身の意思ではコントロールできませんが、ストレスに対しては自身の意思でコントロールできることがあります。それはストレスに負けない身体を作ることです。食事はその強力なツールの一つであり、なにを選んで食べるかは完全に自身の選択に委ねられています。
研究が進み、ストレスを感じたとき、ストレスホルモンの生成を助ける効果のある食品がわかってきました。ビタミンCやビタミンB群、パントテン酸、カルシウム、マグネシウム、トリプトファン、ポリフェノール、GABAを含む食品です。特にビタミンCは、ストレス時に消耗しやすいため、みかんや小松菜、ゴーヤなどから積極的に補給しましょう。パントテン酸は、レバーや納豆、アボカドに多く含まれ、ストレスホルモンのバランスを整えるのに役立ちます。トリプトファンは、必須アミノ酸の一つで、大豆やごま、バナナに多く含まれています。これらを食べるのもよいですが、玄米中心の食生活にすると、ここに挙げたほとんどの栄養素が摂れるのでおすすめです。
過度なストレスを感じたとき、「食べること」で解消しようとする人がいます。しかし、甘いものや加工食品、動物性脂肪を過剰に摂取すると、一時的に気分が良くなるかもしれませんが、長期的に見ると身体に負担をかけてしまいます。これはストレスに対しては逆効果です。
ストレスは避けられないものですが、適切な食生活によってその影響を最小限に抑えることが可能です。健康的な食事を通じて、ストレスと上手に付き合っていきましょう。