これまでたくさんの乳癌の方を診察させていただきましたが、とても印象に残っているのは、最近亡くなられた、まだ40代の主婦の方です。見つかったとき、すでにステージ4で全身転移をしているとのこと。検査した大学病院で、即、抗がん剤による治療を三ヶ月受けました。しかし、抗がん剤により肺機能が低下、呼吸困難になり治療は不可能と判断され、ホスピス行きを宣告されたため、最期に訪ねてこられたのです。
クリニック真健庵では、現在の大学病院の三大治療のみではなく、免疫を上げる方法、腸内細菌が喜ぶ方法、その他、最先端の治療器を使って、末期の方でも希望が持てるような治療をさせていただいております。その方も来院されたときは顔色も青ざめて生きることがやっとという、悲壮感と絶望感を漂わせておられました。
癌治療の根本や自身の体験 人生の考え方まで伝える
そこで、まず、私も実は乳癌だったこと、体と心はつながっていて「病は気から」の言葉通りであること、肉体は借りもので魂は永遠に続くことなど、人生の考え方などについてお話ししました。何よりも、癌の根本原因を自分自身で見つけ、それが繰り返されないようにすることが重要であること、医者としてできる最大限の協力をすることも伝えました。
そして、末期の方でも奇跡的に治癒された方もいること、癌細胞の正常化もあり得るということまでお伝えすると、「とても気持ちが楽になった」「希望が持てるようになった」と言われ、この問診の後、いろいろな治療をしました。彼女は別人のように晴れやかな顔になり「体が軽くなった」と帰られました。それから2か月、希望を持って元気に通院されていたのですが、癌というよりも、抗がん剤によって損傷を受けた肺組織が治りにくくなっており、酸素濃度が上がらないため、かかりつけの大学病院に在宅酸素をしてもらうように助言しました。※1
しかし、在宅酸素の酸素量も一番少ない機械だったため酸素量が足りず、血液中の酸素濃度が90%以上に上がりません。高山病と同じ症状で倒れてしまうので、在宅酸素量を増やしてもらうようアドバイスしましたが、時すでに遅く自宅にて呼吸困難になり緊急入院になってしまいました。そして、入院三日後、帰らぬ人となられ、なぜそんなに急に悪化したのか疑問に思っていました。
自分の体、自分が受ける治療法をちゃんと知っていますか?
亡くなられて10日後、ご主人が「最後に希望をもって生きられたことが何よりだった」との彼女の言葉を伝えに来られました。急速に悪化した理由もわかりました。入院した緩和ケアの病院で、すぐにモルヒネの治療がなされていたこと、酸素濃度10Lでも酸素濃度が上がらなかったことなどの話を聞き、おそらくモルヒネの呼吸抑制作用が起こり、余計に呼吸困難に陥ったのではないかと、自分なりに納得しました。お子さんも3歳のかわいい盛り。1年でも2年でも長く、お子さんと過ごす時間を作ってあげたかった私は、「天国でお子さんを見守ってあげてください」という気持ちと、無念の涙でいっぱいになりました。
現代医学の残酷なところは、癌患者の個人個人の生活背景や生き方などは無視され、乳癌は乳癌と、ひとくくりに治療方法を決めつけてしまうこと。同じプロトコール※2のベルトコンベア作業のように、抗がん剤の量も決まっており、効かないならホスピスに行くか放置されて終わりなのです。各々の人格や考え方、食生活などにはアドバイスもなければ、適当に受け答えされて終わっている。なかには癌患者自身が、治療の内容や、どのくらい抗がん剤が効くのか、その副作用についてなどわからない場合もあります。医師に言われるままに、ただ尊い命を預けている恐ろしい現状なのです。患者さんご自身も、もっと自分自身の身体に耳を傾け、注意を払い、大事にしてほしいと願うのは、私だけでしょうか?
※1 クリニック真健庵は自由診療。在宅酸素は保険が適用されるため。
※2 臨床研究実施計画書。規定、試験・治療計画のこと。
クリニック真健庵 院長
医師 吉村 尚美(よしむら なおみ)
全人的医療を目指した自由診療のみのクリニックを開業。食事療法をはじめとし、腸内洗浄や遺伝子治療などの最先端医療を行っている。放射線科専門医、アンチエイジング専門医、サプリメントアドバイザー、メディカルアロマテラピストなど幅広い資格を取得。著書に『「平熱37°C」で病気知らずの体をつくる』など。
クリニック真健庵
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