「要介護」の期間が長い日本
世界の「平均寿命」が最も高いのは、日本人です。では、「健康寿命」についてはどうでしょうか。
健康寿命とは、介護の必要がなく健康な生活を送ることができる期間のこと。日本は、世界一、寝たきりや痴呆などの病気の罹患期間が長く、10年以上あるといわれています。しかも、年々増加してきているのです。これが幸せな生活だといえるでしょうか。
他の先進国は、平均6~8年ぐらい。日本だけが10年以上も寝たきりや介護が必要なのです。また、日本は60歳以上の人口が世界一です。高齢化に伴い増え続ける医療費を減らすには予防医療しかありません。
予防医療には、一次予防、二次予防、三次予防があります。一次予防とは、健康増進、疾病予防、特殊予防(教育など)。二次予防とは、早期発見、早期対処、適切な医療と合併症対策。三次予防とは、リハビリテーションのことです。この一次予防を徹底することが最短であるといえます。予防こそが最良の医療なのです。疾病の発生を未然に防ぐこと。生活習慣、生活環境の改善、健康教育、健康についての正しい情報を知らせること。重症化する前に、二次予防を行い早期発見早期治療をすることも、大きなコストを防ぐことができます。
また、途上国においては、妊産婦の健康管理、幼児の健康管理が最も優先されるべきです。途上国の死因は、感染症などの衛生管理ができていないことと深く関係しており、妊婦や幼児の死亡率が高く、平均寿命を下げています。生活環境の整備と、やはり衛生教育、食育などの教育を徹底させることが重要です。
医者こそ「食育」を学ぶべし
医学の父と呼ばれるヒポクラテスは、
「食べ物について知らない人がどうして病気について理解できるだろうか」
「食べ物で治せない病気は医者にも治せない」
「汝の薬は食べ物とせよ。汝の食べ物は薬とせよ」
という言葉を残しています。まさに「食育」が大切だと言っているのです。
ヒポクラテスは3~4世紀の人物で、その頃、世界三大医学といわれていた、インドの医学アーユルベーダ(生命の知識の意味)、ユナニ医学、中国医学の影響を受けています。また、西洋医学の父ともいわれています。
ところが、現在の西洋医学では、医学部の教育でも食育が疎かになっています。アメリカでは、一九七七年「マクガバン・レポート」が発表されました。アメリカの特別委員会である「栄養と人間欲求における合衆国上院特別委員会」、通称マクガバン委員会が、アメリカ人の病気と食生活に関する調査をして、その結果を「米国の食事目標」として発表したものです。政府主体で大々的に病気の原因について食の研究がなされたことで、以来、大学でも栄養学の教育講座が何十時間も増えています。そのおかげで、アメリカは癌などの疾病率が減少していますが、日本は相変わらず癌にかかる率や死亡が年々増加傾向にあります。このことは、医者が食育を受けてないことも関係あると考察します。日本の医学部でも、食育の講座を増やすことも対策の一つではないでしょうか。
日本では、長年、国民の間に「健康保険」が普及しているため、体調が悪いとすぐに医者にかかり、簡単に薬をもらい、服用してしまうところがあります。
自費診療のアメリカなどでは、なるべく医者にかからなくて済むように、自己管理としての食事やサプリメント(栄養補助剤)が、かなり研究されています。医者も、食事やサプリメントについてかなり勉強しており、いろいろなサプリメントを処方しています。医者の教育も大事です。
医療改革とは、国民と患者の意識だけではなく、「医療従事者」の意識改革が絶対に必要条件です。何のために生きているのか。人間としての満足感、幸福感のある暮らしを長続きできるようにサポートできる医療であれば最高、と私は考えます。
クリニック真健庵 院長
医師 吉村 尚美(よしむら なおみ)
全人的医療を目指した自由診療のみのクリニックを開業。食事療法をはじめとし、腸内洗浄や遺伝子治療などの最先端医療を行っている。放射線科専門医、アンチエイジング専門医、サプリメントアドバイザー、メディカルアロマテラピストなど幅広い資格を取得。著書に『「平熱37°C」で病気知らずの体をつくる』など。
クリニック真健庵
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