素肌美容に大切なことは、肌を清潔にする外面美容法と、食生活を改善し健康な体を保つ内面美容法、ストレスを解消し常に豊かな心を保つ精神美容法の三つがあります。カルシウムは特に内面美容法に大きな関わりを持ち、精神美容法にも影響を与えています。
カルシウムはカルモジュリン(カルシウム感受性の酵素)とともに細胞の増殖を活性化させ、新しい皮膚を造る働きをしています。皮膚は幾層にも重なり合った構造をしており、外側の表皮が角化して硬い組織となり、それが垢として剥がれ落ちると同時に、新しい皮膚と入れ替わります。健康な状態のときは、皮膚は一定の速度で常に代謝され、新しい皮膚には適度な水分と脂質が含まれています。これは皮脂腺が皮膚の表面に常に適量の水分と脂質を送っているからです。皮脂腺の分泌は女性ホルモンと密接な関係があります。女性ホルモンの働きが活発になると、皮脂腺の働きも強まり、皮膚につやと張りを与えます。逆に女性ホルモンが不足すると、皮脂腺の働きも弱まり、皮膚がカサカサになって肌荒れが起こったり、ときには古くなって角化した皮膚が、新しい皮膚と入れ替わらずにいつまでも残ったりすることもあります。常日ごろからカルシウムを十分に摂取して、体に必要なホルモンの分泌を高め、細胞の機能を活発化させることが大切です。老化現象によっておこる小じわ、シミ、ソバカスなどの対策としても、カルシウムの補給法を加えてみることをお薦めします。
また、ストレスやイライラも肌荒れのもとです。ストレスを受けると、副腎が副腎皮質ホルモンを分泌します。しかしこのホルモンはストレスに対抗するためだけに消費され、アレルギーや感染、肌のトラブルに抵抗するための免疫力の増強にまでいきわたりません。
日ごろから、カルシウムを十分に摂取してトラブルの原因を断ち切り、精神的にも安定した生活を送ることが最も大切な美容法ではないでしょうか。
山口清道
山口清道氏 日本予防医学研究会理事、フルボ酸・腐食性物質機能研究会会長。大手企業や新聞社、薬剤師会、教育委員会その他の各団体が主催する講演会で講師を務め、『食品破壊の実態』『カルシウム不足の脅威』などをテーマとする講演回数は1000回を越える。 現在は講演活動を休止し、食品科学研究所・BAOBAB代表、株式会社バオバブ代表取締役として、イメージ商品が氾濫する現代における、ほんもの食品の研究開発に取り組む。 |