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法の舞台/舞台の法

日常のなかにある法律問題踊る弁護士の活動報告

弁護士/舞踏家

和田 浩 (わだ ひろし)

1977 年新潟県柏崎市生まれ。京都大学総合人間学部卒業。弁護士として、さまざまな分野の事件に取り組んでいる。なかでも、障害者の権利に関する案件に多く携わっている。他方、舞踏家として舞台活動もおこなっている。福祉、芸術、司法の連携について、あれこれ考えている。
縁(えにし)法律事務所 
京都市中京区新椹木町通二条上る角倉町215
075-746-5482

真夏のカフェと甲子園

投稿日:

酷暑が続く真夏の京都。私はいま、エアコンのよく効いたカフェで、このコラムを書いています。

午後1時。窓の外を眺めてみると、1年のうちで最も暑い季節の、最も暑い時間帯の日差しが、容赦なく目の前の世界を熱しています。横断歩道を渡って、通りの向こう側へ移動することすら躊躇われるような暑さです。

他方、視線をノートパソコンの画面に戻し、インターネットでニュースを見てみると、いわゆる「夏の甲子園」に関する記事が出てきます。

球児たちに対し、連日のように真夏の炎天下でプレーすることを強いるこの大会については、昨今、批判的見解も少なくありません。私自身も、部活動に青春を捧げた高校生たちの想いを尊重しつつ、開催方法や開催時期の見直しをすべきであると思います。

また、球児たちの髪型を見ると、丸刈でない学校もあるようですが、いまだ主流は丸刈のようです。しかし、球児に丸刈を強いることに、何らかの合理性があるのでしょうか。夏の甲子園は、このように、学校教育におけるルールの在り方についても、重要な問題を提起しているように思えます。

校則をめぐる問題

先ほど述べた髪型の問題は、あくまで部活動のルールに過ぎないかもしれませんが、少し視野を広げると、校則の問題に行き着きます。

例えば、ツーブロックやポニーテールを禁止する校則や、靴下や下着の色を白色に指定する校則などの存在が知られていますが、このような校則には、何らかの合理性があるのでしょうか。また、このような校則は、生徒の人権を不当に制約しているのではないでしょうか。そもそも、校則は、誰が制定しているのでしょうか。

今後のコラムでは、こうした校則をめぐる現在の議論についてご紹介したいと思いますが、今月は、その前提として、校則について問題となった過去の著名な裁判例を一つご紹介したいと思います。

熊本丸刈り訴訟

この裁判例は、昭和60年11月13日に熊本地方裁判所で出されたものであり、「熊本丸刈り訴訟」などと呼ばれています。

事案を簡単にご紹介すると、熊本県内のある町立中学校において、校長が、男子生徒の髪型について「丸刈。長髪禁止」とする校則を制定しました。これに対し、ある男子生徒が、自己の信念からこの校則に従わず、訴訟を提起して、校則の無効などを主張しました。

この訴訟においては、重要な争点が複数ありましたが、ここでは、①本件校則が男子生徒を性別により差別したもので憲法14条(平等原則)に反するか否か、②本件校則の内容は著しく合理性を欠くか、という点について、簡単にご紹介します。

裁判所は、まず①について、「男性と女性とでは髪型について異なる慣習があり、いわゆる坊主刈については、男子にのみその習慣があることは公知の事実である」などとしたうえで、男女の異なる扱いは「合理的な差別」であるとして、本件校則は憲法14条に反しないとしました。

また、②については、丸刈が、「今なお男子児童生徒の髪型の一つとして社会的に承認され」ていることなどを指摘し、「本件校則の内容が著しく不合理であると断定することはできない」と結論付けました。

この判決は、男女を素朴に類型化し、その区別を正当化しているため、判決から40年近く経過したいま、その論理を維持できないことは明らかだと思います。しかし、先に述べたように、合理性に疑いがある校則はいまだ多く存在しています。

次回以降、こうした校則の問題について、検討してみたいと思います。

- 法の舞台/舞台の法 - 2023年9月発刊 vol.192

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