2年ほど前にコラムで取り上げたことがありますが、私は仲の良い知人たちと一緒に、喫茶文という活動をしています。
喫茶文は、喫茶店でコーヒーや梅昆布茶を飲みながら、各自が黙々と物語を創作し、時間がきたら創作を終え、創作された物語を皆で回し読みして感想を言い合うという営みです。
同じ空間に集まってコーヒーなどを飲みながら物を書くという営みは、一見各自の個人的な活動のようではありますが、実は共同で取り組む創造行為のようにも感じられます。
今回のコラムでは、この喫茶文の活動の最近の展開について、ご紹介したいと思います。
喫茶文ワークショップ
喫茶文は、5名の仲間(私たちは、「喫茶文筆員(メムバー)」と称しています)がおこなってきた活動ですが、最近は、この活動を一般の方にひらく試みをおこないました。具体的には、昨年10月から今年2月までの間、毎月1回ずつ、5回にわたって喫茶文筆員以外の方にも広く参加を募り、喫茶文ワークショップを実施しました。
ワークショップを実施した場所は、「カフェワールド新町店」(♯1)、「Lex&Co」(♯2)、「ごはんカフェ 綴 荒神口店」(♯3)、「Bonjour! 現代文明」(♯4)、「さらさ3」(♯5)でした。会場をご提供いただいた皆さまに、この場を借りて御礼申し上げます。
この喫茶文ワークショップには、多数の方にご参加いただきました。特に、ワークショップ♯4は、お子さんも含めて15名が参加するという喫茶文筆史に残る集いになりました。
ワークショップの風景
さて、皆さまにワークショップのイメージをお伝えするために、5回のワークショップのなかから、さしあたり、今年2月に開催したワークショップ♯5を選んで、具体的にご紹介したいと思います。
この日は、三連休の最終日の夜、さらさ3でワークショップを開催しました。参加者は、喫茶文筆員3名と、初参加の一般の方2名の計5名でした。
参加者が集まり、それぞれ食事をしたり、コーヒーを飲んだりするうちに、少しずつ場が温まりました。
この日は、喫茶文筆員が、普段はダンスをする者たちであることから、自然にダンスと「型」についての会話が始まり、それが膨らんで、いつしか「型」を破ることが話題の中心になりました。
普段の喫茶文では、創作のヒントやテーマをまったく決めることなくおこなうことが多いのですが、一般の方が参加するワークショップでは、少しでも手がかりがあるほうが良いと思われたため、創作に用いる言葉を決めてから取り組むことがありました。
そして、この日は、創作開始までの会話を踏まえて、「型破り」という言葉を用いて文を書くことになり、40分程度の時間をかけて、それぞれ創作に取り組みました。
二人の一般の方のうち、一人の方の作品は、イラストが添えられたチャーミングな作品であり、もう一人の方の作品は、「型」という漢字の成り立ちから思索を巡らせる重厚な作品でした。
こうした一般の方々の作品には、喫茶文筆員たちの作品とは異なる個性のきらめきがあり、そのことが、喫茶文という営みを、いっそう豊かなものにしてくれたように感じられました。
喫茶文HP
喫茶文の活動は、以下のHPでご紹介していますので、ご興味がありましたら、ご覧いただけますと幸いです。
https://saynakasuharu.wixsite.com/kissabun