この1ヵ月半ほどで私の生活は賑やかになりました。それはやりたかった仕事や学びをいくつか開始したからです。さらには、亡き父が残した実家の畑に雑草が待ったなしで増え続ける季節になり、畑の手入れが日課に加わりました。このように、やることを増やした分、時間の余裕は減りました。しかし、面白いことに、心の余裕が減らないのです。むしろ、増えている感覚さえあります。ヒントは「笑顔と笑い声」。誰でもすぐ始められる「時間がなくても、心の余裕を生み出す」秘訣を、今月はお話しします。

時間の余裕という幻想

「心にゆとりを持ちたければ、時間の余裕が必要」一般的にそういわれます。しかし、今回の自分自身の経験から、「必ずしも、時間の余裕が心の余裕に必須条件ではない」と確信し、嬉しくなりました。なぜなら、多忙な私たち現代人にとって朗報だからです。

多くの人が、時間を生み出すことの難しさを痛感しています。より少ない時間でより多くをこなそうとしても、思うようにはいかず、より追われている感覚や焦燥感が強くなったという声も聞きます。また、時短術を駆使しても、期待したほど自由な時間は増えていない気がしませんか？　その代表例が優先順位づけややることリストです。優先順位に沿って次々やることを消し込んでいっても、やることからいっこうに解放されず、時間の余裕もないまま。そんな経験はありませんか？　以前の私もそんな一人でした。

虚しいイタチごっこに疲れた私は、時間の余裕にこだわるのをやめました。かわりに、「自分が幸せや喜びを感じる活動をスケジュールに組み込む」ことにしたのです。すると、時間の余裕が少ないときも、心は満たされ、気持ちに余裕が生まれるようになりました。「幸せや喜びを感じる活動」とは、思わず顔がほころび、声を出して笑ってしまう活動です。すぐ思いつかなくても大丈夫。この秘訣をもう知っているので、あなたが理屈抜きで幸せな気持ちになる活動が、きっとこれから浮かんできます。

楽しむことを先送りしない

ここで大切なポイントは、「スケジュールに組み込む」です。よく「時間ができたら」「落ち着いたら」「やることが終わったら」と言いますが、残念ながら、そんなときはやってきません。やることは無限に湧いてきます。すべて終えようと躍起になるほど、ヘトヘトになり楽しむ力が失われます。「私は人生を楽しむ。この瞬間を楽しむ。先送りはしない」と決めて予定に組み込んでしまいましょう。　

この１ヶ月半ほど私がおこなっている「幸せと喜びを感じる活動」のひとつは、「15時からの白くま」です。週に2回ほど、夫と私は15時になると一斉に仕事を切り上げ、自宅から20分、全国的にも有名な旭山動物園へ車を走らせます。昨年12月、同園で40年ぶりに誕生したホッキョクグマの赤ちゃんに会うために通っているのです。

白くまちゃんの愛らしさは言葉で描写し尽くせません。ぜひ現地へ足をお運びください（大満足まちがいなし）。お母さんに飛びかかったり、元気に走り回ったり。終始ニマニマ。満面の笑顔になります。怖がっていた水のなかにボッシャ～ンと勢いよくダイブしたかと思えば、コロンとお昼寝。生き生きと愛らしい姿に思わず声をたてて笑ってしまいます。わずか30分の滞在ですが、私たちは言われえぬ満ち足りた気持ちになり生き返ります。時間の流れがゆったりし焦りません。動物園に行かない日も、仕事や家事がサクサクはかどるのは嬉しい驚きでした。

「そんな時間、自分にはない」と感じる場合は、簡単なことからでかまいません。ささやかだけど、あなたにとって幸せと喜びを感じること、思わず笑顔になることから始めてみませんか？　そこから心の余裕が始まります。