前回は想念観察をすることで、現実に起きている、と思っていることが、実は単なる脳の電流と神経伝達物質の反応が起きているだけで、本当は何も起きていないのではないか?
という気づきが得られるという話でした。この考え方は、仏教の教えの「唯識」に近いものだと思います。唯識とは、唯だ識のみ、つまり存在するのは心だけであるという教えです。
唯識の歴史はとても古く、また多くの天才的な修行者によって完成された理論です。原典は難解(らしい)なので、僕の個人的で超勝手な解釈をしていきたいと思います。専門家の意見とはたぶん違うと思いますが、ご容赦ください。どんなに素晴らしい教えでも、つかえてなんぼ、それをつかってストレス(アドレナリン)が減れば、(もし間違った解釈でも)結果オーライと思っているので……。
唯識とマインドフルネス
最近、書店でマインドフルネスと書かれた本を見ることが多くなりました。マインドフルネスはベトナムの禅僧であるティク・ナット・ハン師が広めた瞑想法です。アメリカでブームとなった原型は、マサチューセッツ大学医学大学院のジョン・カバット・ジン教授が開発したマインドフルネスストレス低減法です。このプログラムで慢性疼痛、心身症、摂食障害、うつ病などに効果があることが実証されています。 現在では、マインドフルネスを行うことによって、ストレス軽減や集中力・想像力の向上などの効果が期待できることから、アップル、インテル、ゴールドマン・サックスなどの企業が社員教育に取り入れています。なかでもグーグルがティク・ナット・ハン師を招いて、社員にマインドフルネスの指導を行ったことが、現在のブームのきっかけのようです。 そのティク・ナット・ハン師の思想と教えの元になっているのが、禅と唯識なのです。 マインドフルネスの方法は、
(1)姿勢よく座る
(2)呼吸に意識を集中する
(3)雑念が湧いたら、それに気づいて呼吸に 意識を戻す。
たったこれだけです。 ポイントは、呼吸に集中して今に意識をとどめておくこと、雑念に気づくこと、雑念を手放すことです。そして最も重要なポイントは、普段自分だとおもっている自分(自我)を、もう一人のただ観察しているだけの自分(真我)が見ている状態をキープすることにあります。
で? 唯識とは
なぜこの現実だとおもっている現象は、こんなにも苦しみに満ちている(と感じてしまう)のか?
それは、思考している自分(自我)が、起きてくる現実に対して様々な意味づけ・解釈をして、自分の人生という壮大なストーリーを作り出してしまうことから始まっています。唯識は、ただそう思ってしまう心だけがあって、外側の現実は存在しないという考え方です。苦しみの出発点となっている現実(と感じているできごと)自体が元から存在しない!
と言っているのです。
その元から存在しない出来事に対して、自分なりのこだわりを適用して、自分や他人をしばって苦しんでいる、というのが今の私達の姿なのです。「なんて壮大な一人相撲!!」と笑えるようになると、その苦しみから抜け出せます。
想念観察や瞑想はその気づきを手助けしてくれる方法です。
自我をベースにした思考(欲・執着・比較・不満)を手放せば、自然と真我(愛、笑い、肯定、感謝)が顔を出します。まず自分の自我に気づいて、自我から離れましょう、というのが唯識の教えの第一歩だと(超勝手に)解釈しています。
統合医療やまのうち小児科・内科医師
山内 昌樹(やまのうち まさき)
小児科医として勤務していたが、西洋医学の素晴らしさを感じつつ心から望む医療と現実のギャップに悩み、軽度のパニック障害を経験。
YHC矢山クリニックで小児科 を担当し、病気の真の原因を学ぶ。
お母さんの自己肯定感を取り戻すことが家族みんなを笑顔にし世界を平和にすると確信している。
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