自分が決めている「こうあるべき、そうするべきでない」という「マイルール」が、自分自身を苦しめていることがあります。
「○○すべきでしょ」「そんなの常識でしょ」「普通は○○だよ」「みんなこうしているよ」「○○するなんてありえない」「○○なんて最低」。
こういう言葉の裏には、マイルールが隠れています。
たとえば、挨拶は必ずするべき、ご飯を残してはいけない、SNSで既読無視をしてはいけない、宿題は絶対しないといけない、時間に遅れてはいけない、夜は○時までに寝ないといけない、きちんと片づけないといけない、人に迷惑をかけてはいけない、その場の空気を読まなくてはいけない、など。
どのルールも当たり前のことのように感じるかもしれませんが、だれもが同じようにこれらのルールを守れるわけではありません。
とくに意識せず当たり前にデキる人もいれば、ルールを守ろうと必死に自分と他人を見張っている人もいます。
マイルールがイライラの元
自分はきっちりマイルールを守っているのに、周囲の人がマイルールを守ってくれないと、とてもイライラしてしまいます。
とくにわが子やパートナーに対しては、このルールを守ることを強く望む傾向があります。
そして、ルール通り行動するように、コントロールしようとしてしまいます。
もしマイルールを守ってくれないと、「なんでこんなアタリマエのことがわからないの?」「私のこと、本当は嫌いなの?」と自分を大切に扱ってもらえないと感じて失望し、怒りが増幅します。
相手には相手の事情があることも忘れて、イライラが止まらなくなります。
もしはじめからイライラの元になっているマイルールがなかったら?
その怒りは必要なかったものです。
自分をないがしろにされた、と苦しむ必要もありません。
そう考えると、イライラする原因は、自分で勝手に作ったマイルールであり、それが自分を苦しめているということがわかります。
完全な独り相撲です。
マイルールが作られる原因
そうはいっても、簡単にマイルールを手放すことはできません。
そのルールを握りしめているのは、そうなった原因があるからです。
そして、その原因は母親との関わりで作られることがほとんどです。
強く握りしめていて、自分を苦しめるやっかいなルールほど、本来、自分自身が不得意だったことであり、苦手だったことです。
たとえば、片づけが苦手な子の場合、きちんと片づけられないと、お母さんに強く叱られます。
でも、片づけが苦手なので、何度注意されても上手にできません。
繰り返し怒られ、母親に愛想をつかされるようになると、子どもはお母さんの機嫌をとろうと、がんばって苦手な片づけにチャレンジします。
大好きなお母さんの「ため息」を聞きたくなくて。
大好きなお母さんをがっかりさせたくなくて。
大好きなお母さんを喜ばせたくて……。
がんばって、がんばってようやく片づけができるようになると、「きちんと片づけをしなければいけない」というマイルールを心に刻みつけます。
このルールを守っていれば、お母さんは怒りません。
機嫌が悪くなることもありません。
時には褒めてくれることもあったかもしれません。
「このルールさえ守っていれば、幸せになれる」はずでした。
そう思っていたのに、目の前に、片づけをしない、マイルールを守らない人が現れます。
よりによって、そういう人とおつき合いをしたり、結婚してしまったりします。
そうすると、自分の常識では「ありえない人」をなんとかコントロールしようと試みてしまうのです。(続く)