不登校の相談を受けていつも感じるのが「不登校になれてよかったね」という気持ちです。その言葉を、いきなり本人や親御さんに言うわけではないのですが、本心ではそう思っています。以前このコラムに、「子どもが幸せになるのに必要であれば、学校を利用するのは良いですが、子どもが不幸になるのに学校に行かせる必要はありません。学校に人生を捧げる必要はないのです」と書きました。その理由は、元気がなければなにも始まらないから。学校に行くと元気がなくなるときは、学校に行くのをやめて、まず元気になることを優先するべきだと思っています。
元気になる方法は、やりたくないのに無理をして頑張っていることをやめて、本当にやりたいことをすることです。このとき問題になるのが、多くの人が当たり前にやっていること、常識としてできるようになってほしいこと、それをするのは当たり前! と思っていることが、やりたくないこと=苦痛の原因であるとき。本人もそれに気づいていないことがあります。やりたいことをいろいろやってみても、すっきりしない、やる気が起きない、頭痛・腹痛・めまい・不眠などの体調不良が続くときは、普段当たり前にやっていることや、それぐらいできないといけないと思っている(のにできない)ことが、原因かもしれません。当たり前だと思っていることだからこそ、それに気がつけなくなっています。盲点になっているのです。たとえば、宿題、登校すること、教室にいること、自由に動けないこと、規則を守ること、制服を着ること、朝同じ時間に起きること、好きじゃない子と仲良くすること等々。
ただ、元気がなくなる原因や、やりたいことが見つからなくても焦る必要はありません。今はまだ、それに気づくタイミングではないということです。一生をかけて探していくことかもしれません。
不登校がラッキー?
不登校は、自分がやりたいことと、本当はやりたくないことを気づかせてくれるきっかけとして、たまたまそのタイミングで現れた現象です。不登校をきっかけに、自分が本当にやりたいことが見えてきたら、それは超ラッキー。そのままやりたいことを、できる限り追求しましょう。もしやりたいことがわからなくても、超ラッキーです。今のままでは元気がなくなるということがわかったから。今までと違うことをしてみましょう。ポイントは不登校を悪いことだと思わないことです。自分(わが子)が快適に過ごせる環境を整えてくれない、学校制度が悪いということにしてしまいましょう。本当にやりたいことがわかったら、学校の問題なんて、自分の人生にとってちっぽけなことになってしまいますから。
この激動の時代に、何十年も変わらない学校というシステムは、いずれ変わらざるをえないでしょう。中学生の10人に1人は不登校傾向とか、5人に1人は隠れ不登校といわれる時代です。小さな枠におさまることを良しとする、ふる~い価値観に当てはまらない自分(わが子)を素晴らしいと褒めてあげましょう。逆に、学校で自分のやりたいことができる、表現ができる、学校に行くのが楽しい! という場合は、思う存分学校を楽しみましょう。好きなことがいっぱいできていれば大丈夫です。注意が必要なのは、あまり楽しくないのに無理をして学校に行っている場合です。我慢することばかり覚えてしまうと、本当にやりたいことがわからなくなってしまいます。将来、不満がいっぱいで、元気がなくて、幸せそうじゃない大人にならないために!! 本当にやりたいことはなにか? どんな自分でありたいと思うのか? ゆっくりでいいので考えてみてください。
「元気が一番! 元気があればなんでもできる!」byアントニオ猪木「でも元気がなくなることはしない!!」by山内