幸せのサイクルの原点
ライフワークにしても良いと思えるミッションを見つけてこのプロジェクトに参加しました。まずは、 1)農薬・化学肥料を使わず、土を生かし/水を浄化する循環型農業を島内に広げること、その成果物として、 2)美味しく/人の健康に寄与する安心・安全の食を創り/届けること、 3)島に豊かな自然環境を取り戻すこと、を掲げました。同時に、国内の有機市場はわずか0・4%程度という現実を直視し、 4)経済自立できる農産・加工事業のモデルケースを創ること。そして実態を伴わせながら、応援して下さるお客様や協力してくれる農産・加工事業者など 5)島内外に徐々に仲間を増やし、現実的な波及効果をもたらすこと、を考えました。すなわち、生命を繋ぐ「食」を生産・流通・消費の一気通貫で見直し、自然環境を再生する、一つのきっかけになることをミッションに掲げました。
舞台は、ミヤコブルーの海と美しい珊瑚礁、東洋一と讃えられる白い砂浜、夜空に広がる無数の星……まだまだ豊かな自然を誇るこの美しい島、宮古島です。農薬・化学肥料を使わない循環型農業を実践し、生産物/加工品を生産/発信する拠点であり、情報発信基地として、幸せのサイクルを創造していきます。
試行錯誤の連続の中での産みの苦しみ
とはいっても経験値ゼロの自然栽培農家が、初めから上手く・計画的に栽培・収穫・出荷して利益を上げられる訳もなく、難儀するのは当然のこと。
<作ることの大変さ>
播種時期や潅水・日照管理などが不適切で発芽率が低かったこと、土が作れていない為に収量が出ないことなど、失敗経験を重ねながら学び続けています。今現在も、パッションフルーツ/ドラゴンフルーツの苗作り/仕立てなど、いろんな作業が間に合っていません。自分で播いた種の責任も取れない現状に「原稿書いている時間があったら、畑に出た方が良いんじゃない?」と自責の念に囚われます……。
<事業性確保の難しさ>
収益性を確保できるビジネスモデルを作ることの難しさに現在も直面しています。黒糖や黒糖蜜などのサトウキビ関連商品に関しては、化学肥料を使わないが故の収量の低さ、除草剤を使わないが故の除草作業工数の増加が製造原価を押し上げる一方で、製糖工場に出荷しない私たちは補助金(*)の受給を受けません。価格競争に巻き込まれては到底かなわない所でしたが、商品価値を研ぎ澄まし『オンリーワン』の品質に昇華させました。無農薬・無化学肥料栽培(来年には有機JAS認証も取得予定)の非常に稀少なサトウキビを、1本ずつ手刈り収穫し、昔ながらの窯炊き製法で丁寧に作った、他に類を見ない商品の価値を、お客様が、市場が評価してくださいました。
* 1トン当たりの買い取り価格 約2万2千円の内、約1万6千円が国の補助金。
試行錯誤の中からわかってきたこと
基幹産業のサトウキビ、亜熱帯環境ならではの果樹に焦点を当て、現実的な答えを探り続けた結果、サトウキビの無農薬・無化学肥料栽培~オンリーワン品質の加工商品の生産・販売を通して、持続可能な事業モデルの見通しが得られました。水平展開・事業規模の拡大が進められれば、循環型農業が島内に広がり、豊かな自然環境を取り戻す動きに繋がるものと思います。
日々の感謝から発信する幸せのサイクル
『お客様には良質の野菜を提供する一方で、農家さん自身は時間に追われてコンビニ弁当』という笑えない話を聞いたことがあります。実はいつの間にか自分も同じ危険と背中合わせになってしまっていました。プロジェクトを加速・拡大しようと頑張った分だけ、新たに仕事は増えます。一方の見方として、忙しさは進化・成長の証しでもあると思っています。 豊かで力強い自然の営みを感じながら、土/植物に触れ自然栽培を営み、その恵みを享受する。生産者自身が日々の生活を楽しみ、産み出される生産物や加工品を通じて、ここ宮古島から幸せのサイクルを発信していきたいと思っています。
松本克也 プレマ宮古島プロジェクトリーダー(兼農業生産法人(株)オルタナティブファーム宮古代表取締役) 2012年4月まで自動車会社に勤務。車体製造の接合技術開発に心血を注ぎ、エンジニア一筋の人生を送る。2011年12月にもともとプレマファンだった姉から「プレマ・宮古島プロジェクトの発足とスタッフ募集」のメルマガ情報を聞いて『これだ!』と直感し、転職を決意。そこからはとんとん拍子に事が進み、家族で宮古島に移住。今ではすっかり都人(実は京都出身)ならぬ宮古人になりました。 オルタナティブファーム宮古のfaceBookページはこちら>> |
プレマ株式会社の『宮古島プロジェクト』 宮古島の自然農法を推進し、島の健全な地下水と珊瑚礁を守り、お客様に安心と安全を届けます。 |