いつもの道で

【Vol.40】心あったかクリスマス

 「おっと、このケーキ店もか」

 11月末ともなると、街は早くもクリスマスムード一色。今日は新たにケーキ店がイルミネーションと大きなツリーで飾られ、外観がゴージャスに変身しているのを発見。地元内外から訪れる人で行列ができる店だけあって、さすが、手が込んでいる。

 今年はまだ見に行っていないが、京都駅の大階段に毎年お目見えする超巨大ツリーも、京都の街に一層クリスマス感をもたらしていることだろう。この時季の私のおすすめは、京都駅正面に建つ京都タワー。昭和39年(1964年)の12月に、9階建てのビルの屋上に誕生したタワーだ。

 一年を通じてライトアップされているので、これといって特別なことはないのだが、駅中央口を少し出たところから見上げる京都タワーは、ため息が出るほど美しい。イルミネーションで飾られた駅前の木々が、意図してか意図せずしてか、冬空にうかぶ京都タワーを、なんともうまい具合に引き立てているのだ。

23mi_40.jpg 自然が織りなす風景や光には、人が創り出せない最高の美しさがあるが、人が創り出す光の芸術もまたいいものだ。誰かの心をハッピーにしようとつくられたものだからだろうか。この時季だけの、特別な景色だからだろうか。寒い夜に様々な色の明かりがあたたかく映るからだろうか……。

 一人で眺めるのと、二人、もしくは家族と眺めるのとでも感じ方には変化がある。実は結構、一人で見るクリスマスの光は好きだったりする。「もう行こう」と急かされることなく、静かに、好きなだけそこにとどまって見続けることができるから(笑)。

 明日はどこに寄り道して帰ろうかな。

  宮崎 美里

【Vol.39】美味しい季節

 「この臭い・・・」

 足もとに目をやると、特徴的な黄色い葉とともに、誰かが踏んでしまったのだろうか、半分ほど形を崩した小さな実がアスファルトの上に寝そべっている。銀杏だ。

 くさいけれど、この中に、透き通るような緑色をした、あの美しく美味しい「種」がある。大通りを行き交う車の音を横に、季節を感じる。あぁ、美味しい季節がやってきた。

 私がこの臭いを美味しい物の臭いと認識できるようになったのは、父親のお陰かもしれない。小学二年生の秋、神奈川に暮らしていた頃のことだ。確か「児童遊園地」という誰でもが無料で入れる大きな自然公園があり、よく家族で訪れていた。

 あと数時間すれば日が傾き出すだろうある日の午後、公園内を散策中、腰をかがめて何かを拾っている人達がいた。何かいい物を見つけたかのように、すかさず近寄り話を聞く父(この行動は今も変わっていない)。話を終えると、弟、私の手には相手の方から分けてもらったスーパー袋が渡され、「これが美味しくなるんだって。頑張って拾ってね」との指示が。これが初めての銀杏拾いだった。スーパー袋を手袋にしているとは言え、手にとった実から漂う香りはだいぶ強烈だった記憶がある。ただどうやら、食いしん坊の私は幼いときから「美味しい」という響きに弱かったようで、くさくても最高に楽しかった。

 イチョウの木々の下で、父の広げる袋と地面との間を行ったり来たりしながら収穫した銀杏は、持ち帰って処理し、固い殻を割り、フライパンで煎ってぱらりと塩をふって、美味しくいただいた。

 このときの思い出が、私を銀杏好きにしているのだろう。銀杏並木が黄金色に輝くとき、それは美味しい季節。

宮崎 美里

【Vol.38】マラソン再開

 月明かりの下、てくてくと歩きながら半袖の腕をさわるとひんやり。猛暑続きの日がようやく去り、朝晩はすっかり涼しくなってきた。あたりから聞こえる虫の音も「秋」を感じさせる。しばらく休憩していたマラソントレーニングも、そろそろ再開してもよさそうだ。

 シドニー五輪の金メダリスト高橋尚子さんによると、「暑い時期にがんばることがレベルアップの秘訣」なのだそう。先日たまたまつけたテレビで聞いてしまった。体力向上や距離延長を目指す人は、高橋さんの言葉を参考に、日陰のコースを見つけるなどしてぜひ来年は夏場もランニングを。それにしても、いつか地元の四万十ウルトラマラソン(一〇〇キロ)を走りたいと語りながら、ずいぶんと長い間休んでしまった・・・。甘ちゃんな私。「いつか」という目標がきっとそうさせているのだろう。

 随分人気が出てきたらしく、四万十ウルトラマラソンも東京マラソンのように抽選になってしまったらしい。出場できるかわからないが、今後は再来年を標準に意義のあるトレーニングを積んでいこう。

 そうそう、震災に見舞われて交通インフラが崩壊したとき、職場から自宅まで家に帰れる人がどれだけいるかを調査したところ、「職場から自宅までどうやって帰ったらいいのか道がわからない」という回答が多数あったという。

 長時間かけて通勤している場合は地図で経路を確認しておくくらいしかないかもしれないが、可能であれば電車やバスに揺られてばかりではなく、たまには自分の体と頭を使って、徒歩帰宅、ラン帰宅、自転車帰宅をしておくと、気分転換、健康維持だけでなく万が一の時も困らずに済むかもしれない。皆さん、ぜひ通勤スタイルのご一考を♪

宮崎 美里