私たち自然食業者にとっては当たり前だった「食の安全」について、中国産ギョウザ事件以降、世間は一気に過敏になっているようです。
これに関連して学校給食の安全も関心が高まってきました。朝日新聞によれば横浜市の場合、給食1食あたりの予算はたった217円だというのです。さらに多くの保護者からは「中国産は危険であるから、避けるようにというニーズが高まっており、中国産を特定して排除していく流れにあるけれども、その予算の中では中国産をさけて素材を調達していくのはとても困難である、という趣旨の記事です。しかし、中国産だけが本当に危険なわけではないことは弊社のお客様ならよくご存じの事実だと思います。
私が学校給食に感じる最大の問題は、にわかに関心の遡上に乗った中国産云々よりも、給食においての主食が「パン」であることです。一部の自治体では100%コメの主食というところもあるようですが、極めて少数派です。このパンの原料である小麦は栽培時、収穫後、そして輸出入時に大量の農薬が使われ、健康を害するマーガリンなどのトランス油や大量の砂糖、食品添加物を含むジャムなどを塗って食べます。当然、1食217円の予算ではこれらの素材のコストも最低レベルですから、普段まともな食材を食べている人には、とても不味いものです。もっと怖いのは、ギョウザのように農薬がおそらく意図的に急性中毒を起こすほどの量が混入されて、食べた瞬間におかしいと感じるわけではなく、毎日毎日少しずつ、何もおきそうもない「安全な」量で慣らされていることではないでしょうか。日本の食料自給率39%、そしてコメ価格の底なしの下落と日本農業の倒壊の一方で、子どもたちは日々微量の毒を盛られ続け、大人になればパンや麺ばかり食べるようになってしまいます。さらに次のステージで噛まないことによる学力低下、ミネラル不足でキレやすい、若年者の生活習慣病による医療費の増大と、ずるずると負の連鎖が始まります。
日本が抱えている問題の大きな根っこが、この学校給食にありそうです。ただ、冷凍ギョウザを怖がっているだけではいけないのです。