私の家の周辺は、ホットスポットと呼ばれる状態で、かなり放射線量が高いのです。小さい子どももいますので、とても心配です。具体的にどのようなことをしたら良いですか?
(千葉県 Y様)
答え:
大変心配でいらっしゃいますね。できることを列記しますと限られたスペースではご紹介しきれませんので、今回は放射性物質を取り除く「除染」について説明します。体そのものを守る方法については過去のメールマガジンなどでご紹介していますので、そちらをご参照下さい。
自宅、またはその周辺の除染
もっとも大切なのは自宅周辺を早く除染してしまうことです。除染というととても大変なことに聞こえるかもしれませんが、原理としてはとても簡単です。「放射能」という言葉が一人歩きしてしまって正確な用語ではないので理解を難しくしています。正しくは「放射性物質の除染」であって、つまり『細かい粒子であり、放射能によって放射線を出し続ける放射性物質を取り去ったり、洗い流したりする』こと、これが除染です。
除染作業の際には放射性物質を吸い込まないよう、マスクや可能ならゴーグルなどを着用し、放射性物質の付着を防ぐために皮膚を露出しない長袖長ズボン、長靴で作業して下さい。
【コンクリート、アスファルト、タイル、木部、鉄部など、土や砂、小石以外のところ】
とにかくごしごしと擦りながら徹底的に洗って下さい。石けんなどを用いると、油脂や汚れと一緒に固まってしまったような放射性物質も除去しやすいです。地面だけではなく、壁面やエクステリアなども、ブラシなどで擦って落として下さい。上から作業することで放射性物質は水と一緒に下に流れるので、効率がよいです。高圧洗浄機があれば作業効率が上がるでしょう。
【庭などの土や砂、小石がある部分】
表面数センチのものを除去してゴミ袋などに入れ、処分は自治体の指示に従って下さい。自治体が受け入れない場合には、分厚い袋に何重にも入れて、できるだけ生活空間から遠いところに埋めておくしかな
いでしょう。とにかく長期間漏れないようにしてお
けば、処理が可能になった段階で検討可能です。
学校や幼稚園・保育園、地域の除染
早期除染の必要を徹底的に管理者に伝え、業者による除染を待つことなく保護者会などで早くやってしまうことをおすすめします。業者が動くには予算、それに先立つ議決が必要で、いつまで経ってもことは進みません。
表土を埋めるための穴 |
弊社のスタッフ岸は千葉県柏市の在住ですが、教育委員会などに根気強くその必要性を訴え、小学校側にも相談をし、結果として有志による除染プロジェクトが実現しました(写真)。公的な機関は横並びを意識し、また国の基準云々の話をしますが、放射線量は低ければ低いほどよいことを伝えるほかありません。公務に就く人の横並びしたいという後ろ向きの動機を変えるには情熱しかないのです。感情的に攻撃することなく、
「一緒にやりましょう」と根気をもって呼びかけて下さい。
お手製の「表土除去装置」 |
岸曰く、「作業の最初はこの辛い作業を他の人はどのように思うだろうと心配だったけど、汗をかいている間に心まできれいになりました。原発事故以降、こんなに素晴らしい気持ちになったことはありません。とにかく行動することがこれだけ気持ちを明るくしてくれるのだと、実体験をもって理解できました。まさに心の除染でした」と話してくれました。誰かを非難することは簡単ですが、「遠くの何かよりも、身近な何かに向かって具体的に行動する」ことの素晴らしさをぜひ体験していただきたいと思います。