訴訟を避けるために
つい最近、日本各地からいらした助産師さんたちと話す機会がありました。私の高齢出産の話題も出て、3人目で初めて経験した大病院でのお産について話すと、中国地方のベテラン助産師さんが、個人病院のときは充実感があったけど、大病院は、働いているほうもストレスなの!
と、はっきりと。入院する側と受け入れ側、双方の立場から盛りあがるくらい、そんなんかえって危ないわ!というツッコミ合戦となりました。
そういうツッコミがまかり通るのは、助産師さん曰く、医療側の「とにかく問題を避ける姿勢」のせいであると。
近ごろは、43、44歳くらいになると、経産婦でも受け入れない助産院が増えているとの話題もあり、医師の許可の問題だけでなく、助産院側の受け入れ態勢も、憶測でなく厳しくなっているようです。
自然分娩への道は険しい?……でも、どのような産み方であっても「自然」がありうることは、心ならずも帝王切開になったママ……いろんな自然な手段を講じつつ、なぜかその結果に行き着いてしまったママたちと話す機会があれば実感します。例えば、その帝王切開が、子どもから母親への、人生の大きなギフトになっていたりするんですね。その親子にとっては必要で、自然なお産なんです。
だから、「自然」の定義は一枚岩ではないと思いつつ。でも、分娩台でのお産は、万が一の時に鉗子を突っ込みやすいように考案された、歴史の浅い、不自然で産みづらい姿勢。そんな不自由なかたちに、万一に相当しない大半の母子を押し込めるのは、何か活力とか生命力といった根本的なものを削いでしまうのではないか、とは思っちゃいますね。
受付だらけの迷路
医療介入の最後の砦、NICUのある大病院では、診察室にたどり着くだけで大変でした。まずは初診専用の受付の場所を探して右往左往。その後、尿検査など基本的な検査をしてから、改めて産婦人科の受付にたどり着きます。産婦人科と婦人科でも受付が違います。
産婦人科の受付で、エコー検査等、妊婦健診につきものの検査を指示されます。すべて検査技師さんが、産婦人科の医師とは別の場所で担当していました。それら全てにも別の受付があり、それぞれ検査と結果待ちがあります。完全に半日仕事。とにかくあっちこっちに受付と結果待ちがあるので、広いなぁ、迷路みたいだ、と、驚くばかりでした。
いろいろ取り揃えて、ようやく医師の診察に並んでからも、ずいぶん待たされました。私はそこまでいろんな順番待ちがあることに慣れてなかったので、効率も悪いのか、一番最後になりました。
結局2度しか対面していない産婦人科の先生は、おそらく私より若いのではないかと思われる男性。せいぜい30代半ば?ソフトな人当たりでしたが、少なくとも2つ見た大病院の両方で、お医者さまってPCばかり見ている印象です。医師は、こちらを直視せず、入力したり、データを確認したりしていました。
でも、その先違和感が広がった理由は、おそらく、上意下達にすべてを進める予定だった医師と、説明があるものと思っていた私の、そもそもの前提が違っていたのだと思います。
その日のメインは、いろんな同意項目を含んだ紙切れを渡されることでした。まあ死のうが何しようが責任持ちません系の項目への同意書です。すでに医師の名前は記入されていて、私もその場での署名を求められました。持ち帰って確認すると言うと、妙な間が生まれました。
その場では、それだけでした。そして次の健診のとき。家人とも話して、私がそのペーパーに関する質問を始めると、医師の態度が豹変しました。
プレマ株式会社東京スタッフ
望月 索(もちづき さく)
8歳、5歳、1歳の三姉妹の母。
人一倍不摂生な出版仕事人が妊娠、出産、育児と経験を積むうちに、気づくとハードコアな自然派お母ちゃんに。
編集、ライター、プレマの東京スタッフ。
編著に『子どもを守る自然な手当て』、訳書に『小児科医が教える 親子にやさしい自然育児』など。
楽だから自然なお産ご質問などは下記ブログまで
http://macro-health.org